シバケンの単なる雑談NO.16

単なる雑談NO.14 単なる雑談NO.15
単なる雑談NO.11 単なる雑談NO.12 単なる雑談NO.13

単なる雑談NO.5 単なる雑談NO.10
題目一覧表

目次

雑談NO.17

320.コンビニ・ダンス・ストア(30) 京都・言葉と習慣(1)

319.コンビニ・ダンス・ストア(29) タヌキの話

318.コンビニ・ダンス・ストア(28) 大山に登る

317.コンビニ・ダンス・ストア(27) ニューヨーク公演

316.コンビニ・ダンス・ストア(26) 夫婦の会話

315.コンビニ・ダンス・ストア(25) コンビニ考(2)

314.コンビニ・ダンス・ストア(24) コンビニ考(1)

313.コンビニ・ダンス・ストア(23) 開幕開演本題突入

312.コンビニ・ダンス・ストア(22) 喜劇と化した源氏物語

311.コンビニ・ダンス・ストア(21) 奇数偶数吉数濁音言霊数霊の世界

310.コンビニ・ダンス・ストア(20) パソコンの話も出たけれど

309.コンビニ・ダンス・ストア(19) 余談・公立高校

308.コンビニ・ダンス・ストア(18) 余談・恐ろしい話

307.コンビニ・ダンス・ストア(17) 阿呆アホ合戦

306.コンビニ・ダンス・ストア(16) BRIGHTON・HOTELでのお食事

305.コンビニ・ダンス・ストア(15) 祇園祭の話

304.コンビニ・ダンス・ストア(14) 京都は学生さんの都

303.コンビニ・ダンス・ストア(13) 遠き昔の緊張感

302.コンビニ・ダンス・ストア(12) 余談・五分前

301.コンビニ・ダンス・ストア(11) 受付前三十分

雑談NO.15


301.コンビニ・ダンス・ストア(11) 受付前三十分

「イヤア、お久しぶりやねえ。」
「コンニチハ。お久しぶりで。」
お久しぶりにお会いしまして、KYO子さんとはこの程度の会話をしたやに思いますが、佳く覚えてない。何せ、ご挨拶もソコソコに此の一団はKAZU恵さんを先頭に確固たる意図有るが如く、或る方向に突き進んでます。
往き先は何処であるのか、最後尾のYASU子さんが云うには、
「長いこと待たはったんか。堪忍え。
三十分前になったし、受付に並んでよかて。
私等はコーヒー飲んでしもたけど、柴田さんはユックリとコーヒーでも飲まはったら佳いのんえ。」
待ったのは煙草一本吸う程度ですから長くもありません。
此れにて現況が把握出来たのですが、そおかいなとお言葉どおり、一人でコーヒーも味気ない。佳いわ佳いわ一緒に並ぶわと付き従うことに致しまして。
さて、どのコースを辿るのか。大廻りではありますが、こっちからでも往けるわなあとKAZU恵さんの言で、建物の構造を分かって突き進んでるのでは無かったのです。まあ、迷路でもないから往けるやろと、私も佳い加減な返事です。
なんのことはない。ホール入口は閉められてまして、扉の向こう側には受付担当者が待機してます。
扉の前で待ってれば、多少なりとも早めに受け付けてくれるかと思いきや、甘かった。開いたのは丁度四時半でしたが、その間三十分、立ったままで色んな会話がありました。
開口一番、KAZU恵さんが仰るには、私のことはスグに分かったか。誰でも云わはるのやで。余り替わらへんなあて。どおやった。
こんな具合に聞かれまして、分からんかったで。見違えた。とは口が裂けても申せませんが、お愛想云うまでも無く、スグにも分かりました。
果たして、彼女とは何年ぶりになるのか。此の前の郁文中学合同同窓会の時には来てたのかなあ。私の記憶のナカには幾ら捜しても残像が見当たらん。
同じクラスの面々で二次会に往ったのです。二次会は喫茶店ですが、其処の残像にも見当たらんのですが、ご当人様は往ったと主張しますし、ホカの面々も否定をしませんので、居てたのやろ。イヤ、ホカの面々は残像を巡らすまでも無く記憶してる。
KAZU恵さんが同窓会に参加してましても、挨拶は別にして会話が一度も無かったのやろ。
KYO子さんとは会話した。たったの一言、早く取りに往かんと無くなりますよ。そおやなあ、取りに往かんとアカンなあ。同窓会はバイキング料理でありました。
其の数年後かに、要件はナンであったのか、YASU子さん宅に集合することになってまして、往く予定が仕事の都合でダメになり、その旨、電話をすれば、出て来たのがKAZU恵さんでありました。YASU子さんは買い物でと。
そんなことを白黒つけることは無い。話題を替えまして、凄いなあ。YASU子さんの家がビルになってるなあ。
マンションに建て替えて、十数年やて。もしかして、お声が掛かった時期かとも思うのですが、そんな話も無かったで。
マンションになってるのを知らはらへんかったんか。長いこと往ったはらへんかったんやなあ。
真理ちゃんはどおしたはるの。元気にしたはりますか。
真理子とは私の妹のことです。
タケちゃんタケちゃん云うてたけど、そお云うたら保っちゃんもどおしたはるのやろねえ。
保君とは、同じ町内の幼馴染みのことでありまして、同級生でもあります。
KYO子さんともこんな具合に昔話に花が咲き。咲き過ぎまして、四人入り乱れての会話故、誰が誰にナニを云うてるのか見当も付かず。なあ、柴田さんと返事を促されれば私に云われてたことになるから、ナニナニ、ナンやった。聞いてなかった。
KYO子さんにはお兄さんが居られまして、中学時代であったのか、突然往こかとバイクに載せられ、嵐山に泳ぎに往きました。今では御法度ですが、当時は出来たのです。バイクも原付で二人乗りはアカンかった筈ですが、既に時効。
二人兄妹かと思てましたら、妹さんが二人有るのですて。ナンとまあ、同じ町内で知らんかったとは、余程大人しい妹さんです。
斯くなる次第で、此の三十分で、不思議なことに時空を越えてしもたのです。
間には十数年が有るのですが、更に飛び越えてしもて、遙か彼方にはなってますが、小中高校時代からの姿、形、チョッとした仕草、立ち居振る舞いが蘇る。
其の仕草がどんなであったかまでは説明不可ですが、ナニかの拍子に想い出され、その瞬間に、目の前の五十半場の女性も一気に其の時代に逆戻りです。
逆戻り現象は私の頭のナカでのことですが、同窓会でお会い致しましても、一言二言がセイゼイのことで、昔っからこんなに喋ってませんで。
ホール前での立ち話、たったの三十分が過去にして来た会話の相当量に匹敵するやも知れません。
(02/04/25)


302.コンビニ・ダンス・ストア(12) 余談・五分前

佳い歳したオッサンがやなあ。
寄って集ってチクチク、ネチネチ、ウラ若き女性を虐めやがって、泣かせやがって。
国会の参考人招致で疑惑の小売店と称され、議員辞職の辻元清美さん(四十二歳)が登場しました。政策秘書給与の届け出を怠ったばかりにエライことになりました。(「憂国NO.6」辻元清美議員騒動参照)
私は辻元さんの態度物言いは大嫌いですが、其れと此れとは別問題。
売国奴鈴木の小熊と柔弱不断の加藤ちゃんがやったことからすれば些末なことで、可愛い話ですのに単なる政争の具、時間潰しのための政治劇に引っ張り出しよっただけですが、元を質せば持て囃されてハシャギ過ぎて、理論武装もせずに出しゃばり過ぎた結果です。
よって、無罪放免とは申してませんし、悪法も又法でありますが、そんなことより国会議員様は他人様を泥棒扱い、犯罪者扱いする前に、ホントに大丈夫か其の身の潔白を証明してから質問の弁を振るってクレ。
そもそも、国会議員の存在そのものが税金泥棒であります。国家国民のためにのみ時間を費やし、報酬に見合うだけの働きをするのが課せられた使命である。
マスコミも細かなことをガタガタ云うてますが、社民党を解体させれば気が済むのか。土井委員長が辞任すれば佳しとするのか。ツマランことを煽ってます。
ブッツケ本番の馬鹿げた演劇は此処等辺りで辞めて戴き、もっと重要な国民生活に密着したことを討議して戴くため、小泉首相の微かに残った指導力を発揮されまして、法改正断行。
各々方、其れまでには綺麗にしてオケよ。以降紛らわしき処置してたら問答無用で税金泥棒扱いである。
市中引き廻しのウエ、議員辞職は勿論のこと、塀の中にブチ込み二度と出て来るな。禁固五十年にしてやると断言セヨ。
其のくらいのことなら決心だけやから、やってクレ。無決断で佳きに計らえワシャ知らんの首相の下では無理やろなあ。
辻元さんも社民党を防衛するのも結構ですが、泣く暇があればしかるべき法改正を望むと一言注文して欲しかったのに、小売店ではマア無理か。
サテ果て、辻元さんよりはお歳ですが、華麗なる京言葉を操る京女が三名様。
お歳の分だけ年季も積んでますから、チとお言葉使いをお教育して戴けば佳かったのです。
京言葉ならナニを云われてもヤンワリと受け取られます。勿論、喋り手の語調も有りますから、そおで無いこともある。
辻元さんみたいに早口でまくし立てられたらナニがナニやらサッパリ分かりません。
同級生にも居てました。喜久子さんと申しまして、速射砲。その人の話は出てませんでしたが、辻元さんのことで想い出しただけ。其れでも言葉使いはマシであります。
其の替わり、ネチネチ、チクチクの皮肉タップリならお得意なのも京言葉。京都独特の表現と慣習もありますので、誤解されることがあるのも京言葉です。
誠、皮肉であってもその場では腹の立たぬのも京言葉ですが、アトからどお云う意味かいなとジックリ考えてみれば、ヤッパリそおかとグサリと来まして、余計に腹の立つのも京言葉。
ところで、「堪忍え」は「堪忍どすえ」と違うのかとのご意見を戴きましたが違うのです。
「どすえ」は所謂色町言葉でありまして、先斗町か祇園界隈のお茶屋さん辺りでなら聞けますが、京都で下手に使たら誤解されることもある。
事程左様に京言葉の代表例として、色町言葉が広まり過ぎてまして。
三名様とは其の手の言葉と慣習の話もしたのです。色町言葉のことではありませんが、も少しアトのことであります。
さて、私共が一番手グループですが、気がつけばホール前での立ち話をしてる間にも受付に待つ列も長くなりまして。年齢層も中年ばっかりで。もしかして、我がグループは若手の部類かなあ。
其れはそおと、チケットに住所と名前は書いたんか。
YASU子さんが云い出しまして。そお云うたら、そんな欄が有ったなあ。見て知ってましたがホッタラカシですから書かんとアカンなあ。
只でさえ、汚い字しか書けませんのに、立ったままでは尚読み辛い字ですが書かせて戴きました。自分でも読めませんが、形式だけやからカマヘンやろ。
予定時刻の五分前になって、受付担当者が動き出しました。イヨイヨ、受付開始。
三十分がアッと云う間に過ぎてしもた。
(02/04/26)


303.コンビニ・ダンス・ストア(13) 遠き昔の緊張感

先頭故、いの一番に受付して戴きまして。
何処が宜しいですかとホールの座席一覧表を見せて戴きましたら、ザッとですが、五百名は収容出来る大きさですから立派なものです。
広過ぎるウエに一番手。選択幅が有り過ぎて、何処でも佳いのも困ったものです。
KAZU恵さんがドレドレと乗り出しまして、最前列もナンやしなあ。此処等辺りが佳いのと違うかと、三番目の中央辺りを指差しまして、此処で佳いなあと同意を求められ。佳いも悪いも無いのです。佳く分からんから佳きに計らえと全員一致。
座席さえ決まってしまえば、さて、時間までどお致しますか。
開場六時で開演六時半。今、何時。マダ四時半やで。
KAZU恵さんが、BRIGHTON・HOTELの食事券を持ってるし、チと早目ではありますが、其処でお食事にでも往こかとご提案されまして。
HOTELで食事とは超豪華なことです。入手の経緯は聞き及んでませんが、お食事券をお持ちとは大したものです。
此れ又、佳いも悪いも無いのですが、錚々たる面々やからお食事を避けたかったのにと、最早冗談ですが、気を使うしなあと告白すれば、
「なんでやの。こんなことばっかり云うたはるのんえ。」
と、YASU子さんにバラされまして。勿論、食事のことは聞いてますし、演劇鑑賞後のお茶でも往こかも聞いてます。
正直な処なら、立ち話もしましたし、時空を越えすっかり同化してしもた。
同化したと申しましても、そもそもKAZU恵さんがこんなに喋るとは思いも寄らず。中学三年の一年だけのお付き合いですし、喋ったとしてもその一年間で、二言三言と思います。
当時、どんな印象を持ってたのか。下手な冗談は通用せず。所謂、物静かで清楚な女性。
女性としては背も高く、小柄の私と比較もナンですが、私よりも背が高いので、余計に近寄り難く敬遠してました。
今でもやっぱり背は高いのですが、想い描いてたよりは低かったのです。縮んだワケでもありませんでしょうが、不思議にもチと高い程度になってます。
清楚なる表現も当世死語と成り果ててますが、小学時代から知り合いのKYO子さん、YASU子さんも清楚でありました。
間違ってもヤルこと成すこと、考えてることがパンパラパンではありません。
そもそも、パンパラパンが居てたのやろか。私の知る範囲には居てませんから、当世とは桁違い。其の清楚なナカでも一段と清楚でありました。
小学生なら怖い物知らず。男女の区分無く喋ったことと思いますが、中学以降は女の子であると意識してのことか、側にも寄りつきませんでした。
お二人さんが、どんな子であったかとなりますが、クラスで賢い子はと尋ねられれたとしたら、軽く五本の指に入ってましたで。
どちらかと云えば、KYO子さんは可愛いい系でありまして、YASU子さんは所謂美人系。正しく、クラス代表の才気闊達、才色兼備。畏れ多くも側になどが寄れますかいなが真相でありまして、斯くの如く、親しく肩を並べて歩けるとは夢物語での出来事であります。
そお云えば、話に寄ればですが畏れも知らぬ遠慮も配慮も無い小学一年生の時でした。
誰とは断じて公表出来ませんが、遠足になればイツもお手々をつながさせられるのですが、其の子は汚いから嫌いである。触るなと泣いて厭がったことがあったそおでして。
先生が其れならと組み替えまして、YASU子さんと並ばせてくれまして。喜色満面大層歓んだと伝え聞く。そんなことをさせて戴いたのも一年生の遠足だけらしいのですが、近所のお母さん方の言でしたから間違いないのやろ。
片やKYO子さんとは同じ町内ですが、KYO子さんは、気さくで物怖じせぬ、朗らかな性格でありました。
だからと、頻繁にお喋りしたこともない。覚えてることは、中学か高校時代の町内の盆踊り大会でのことであります。
曲目がフォーク・ソングになりまして、第三の男かオクラホマ・ミキサーかナニかです。男女が順々にペアになるヤツで、踊ってましたらKYO子さんと組むことになりまして、何故か又もやクスリと笑われて。イヤ、一度目にはシバケン大丸で笑われてますがな。
「エライ緊張したはるのやねえ。」
お察しどおり、コチコチに緊張しておりました。ズバリ云われて余計に緊張してしもて。此れは夢とか現とか云うのでなく、ハッキリと覚えてます。
そんなことも私だけの遠き昔の想い出となりまして。
(02/04/27)


304.コンビニ・ダンス・ストア(14) 京都は学生さんの都

BRIGHTON・HOTELは何処なのか。
ホテルそのものに縁は無いけれど、聞いたことの有る名前で、もしかしたら一度は往ったことがあるよおな、無いよおな。
とりあえず、場所が何処なのかピンとは来てませんので付き従うだけ。
適当に雑談などし乍ら歩き出しまして、幾らか歩いた処で、又もやKAZU恵さんが云い出した。
御所の向こう側の筈やし、歩いてたら大変や。四人やし、タクシーで往かへんか。
佳いも悪いもありません。御所を中央突破することは出来ますが、何せ御所は広いです。京都府立文化芸術会館は河原町通り。御所の向こう側は烏丸通り。烏丸通りにもホテルは有ったかも分かりませんが、タブン其の先で、そおやなあと全員一致で、流しのタクシーを捕まえまして。
乗るや否やKAZU恵さんとKYO子さんは阪神タイガース快進撃の話題となりました。
ナアナア、監督が替わるだけでこんなに替わるのやなあ。野村さんは陰気臭かったけど、星野さんになってからは大したもんやねえ。このまま優勝したりしてなあ。
此のお二人さんは阪神ファンやったのかいな。私は巨人ファンでありますので、一切口出し無用で御座います。
と思てたら、KYO子さんが此処は広小路学舎やねえ。まだやったはるのですか、柴田さん。
突如お鉢が廻って来まして、ナンのことかと佳く見れば広小路学舎が見えたのです。私は理工学部故、衣笠学舎。広小路学舎には無縁でありました。
今は草津のホウになったし、やったはらへんのですよねえ。
返事をするまでも無く、佳くご存知で。
京都は学生の都とも称されてまして、当時の京都市内だけに限定すれば、当時とは私の受験時代のことですが、京都大学、京都府立大学、京都府立医科大学、京都学芸大学(現京都教育大学)、京都工芸繊維大学、京都市立芸術大学。そして、種智院、龍谷、大谷、佛教、同志社、立命館、京都外国語大学がありました。
京都産業大学は私が高校三年のときに設立された大学で、現在なら京都市の範囲拡大にも寄りまして山科区の京都薬科大学を加えねばなりません。その他、女子大、女子短期大学、専門学校等々を含めれば、沢山有り過ぎて名称も変更されたりもしてますから全容把握は佳くしません。
其の大学も経営の多角化で魅力有る大学にとキャンパスを広げるにも市内では場所が無く、有っても地価が高過ぎて京都市との折衝も進展セズ。
遂に同志社は京田辺に立命館は草津。京都大学まで徐々に移転の話がありまして。完全移転ではありませんが寂しくなったなあと歩いてるときにYASU子さんと話をしてたのです。
何故、京都は学生の都と云われたのか。京都の広さにしては大学が多いこともありますが、学生さんを大切にして来たと云えるのです。
学生の分際でマンション生活なんか以ての外の時代。地方からの学生さんに対しては寮にしても絶対数が不足のため民家が下宿先として部屋の一部を貸してました。
隣家の離れにも学生さんが下宿してましたし、食事付きでしたから家族と一緒やで。私などはショッチュウ訪問してはナンかして遊んでクレと催促しに往ったものです。居てれば厭と断られたことは無いのですが、ご免なさいね、ダメなんやと年に二度は拒否された。
前期、後期の試験の時ですが、ナンやそおかいな、大学生になったら試験は年に二度だけなんや。小学校、中学校と比べたら楽なものと羨ましく思えたもんですわ。
勿論、男子学生。出身地が何処で何処の大学か専攻も覚えてませんが、もしかしたら我が先輩やも知れません。
こんな具合に物心ついた頃から学生さんに接触してましたので、イツとは無く京都にある大学名くらいは知ってましたし、入れ替わり立ち替わり下宿されてましたて、優しい性格のカタばかり。
特に一人だけ苗字が梅原さんと覚えてますが、ナニかと此の悪ガキに邪魔されたことと思います。タマには学校の宿題等分からんことが有ったなら、ナアナア教えてクレと頼みに往った。肝心の夏休みの宿題は残念乍ら帰省のために役にも立たず、もっと早いこと戻ってクレんとアカンやないかと拳を上げて激怒したり。
そんな時には其の家のお姉さんに聞きに往ったものです。二歳ウエで丁度佳かったし、助かった。妹さんも居てまして、私の一歳下ですが、此れ又揃ってコケシか京人形みたいな顔形と評判の姉妹。又もや才色兼備の所謂オール五の口でした。考えて見れば私の周辺には頭の賢こい京美人が多かった。
処がオール五のお姉さんが目指す高校入試に失敗されまして。あんな賢い人がと町内中に衝撃が走ったのを覚えてます。あの子は勉強が出来るのに、教科書以外の応用問題が出たらアカンのか。本番で上がってしもて可哀想に。種々雑多の憶測の噂までが流布されて。
其の折りにはと目指してた高校でしたから、落ちたらナニを云われるか。イヤイヤ、私なんかは中の上の口ですから、衝撃は走らんやろ。
近所の小母さん連中から、タケちゃん、ヤッパリなあ。気を落とさんときや。人生長いで。此れからやでと慰められるのではと。
イヤまあ、突然のKYO子さんの広小路学舎で大いに脱線してしもた。
(02/04/28)


305.コンビニ・ダンス・ストア(15) 祇園祭の話

脱線ついでに、隣には二人姉妹の上にお兄さんが居たはりました。
同じ町内でも四つも五つも年上となったら一緒に遊んだことはありません。マズは相手にして戴けませんし、顔を合わせても挨拶程度。
悪いけど、お兄さんには勉強の噂は出て無かったのですが、気の佳い人で自慢は菊水鉾の囃子方で、祇園祭が近づけば練習に往ってましたで。
何日か前には、タケよ見に来いよ。場所を云うてクレたら粽を投げてやる。そおやなあ、四條烏丸の三和銀行(現UFJ銀行)の前辺りがどおや。
当日、其処に居たら見つけてくれて、粽を投げてくれるのですが、そお簡単に取れるものでは無い。一度は傘を持って往きまして、逆さにして此処に入れてクレと頑張ったのですが、アカンものはアカンのです。入っても手にするまでに取られて消えてしまう。誰宛と名前が書いてあるワケでナシ。取られて、泥棒と騒ぐワケにも往かんしなあ。
そやけど、取れなんだら、残念やったなあと粽を持って来てくれました。
囃子方は粽を適当に投げてるよおにも見えますが、当人負担で買おてますので本来は知り合いに受け取ってもらうためにやってるのです。
一投で命中させるのも至難の技。此処ぞと何発も投げてクレますが、マズ、目的を達成することは出来ませんので、結果的にはバラ撒いてるのです。よって、ご近所さん等、声を掛けた人にはワザワザ持って来てくれる。
美味く取ることが出来たらおめでとうさん。今年はナニか佳いことがあるゾ。無病息災、家内安全、招福万来。
ではありますが、争奪戦がキツイので、受け取ることはナカナカ出来ません。戴いた粽は毎年疫病除けに門口にぶら下げるのです。
イヤ、元々が平安時代清和天皇の貞勧十一年(八百六十九年)京都に大流行した疫病退散を願い其の根源である悪霊を神泉苑に封じ込めるがための御霊会を催されたのが発端で、其れを祇園八坂神社が主催するよおになってから、祇園祭と称され、次第にお飾りが豪華絢爛になっただけで、粽は疫病除けに間違い無し。
神戸の履き倒れ、大阪の喰い倒れで、着倒れの京都と称されてます。
先祖代々倉を幾つも保てる程の呉服屋さんで京都の中心部、鉾町は南北の室町筋、東西の四條通りの大金持ち界隈が祇園祭の花形であります。
山町は其処までの財力は無いけれど、それでも倉の建つ呉服屋さんで保つ町内ですがな。
我が母校、格致小学校区には油天神山、四條傘鉾、芦刈山、木賊山、太子山の山鉾町が有ります。残念ながら、我が町内は其の外れですが、小学校は太子山町にありまして、歩いて一二分。其の時期には山をジャングル・ジムみたいにして遊んでましたし、山も鉾も釘は一本も使わず、数人の職人さんが縄で組み併せてました。
云うたらナンですが、呉服屋さんもマダマダ景気の佳かった頃ならば、山鉾の引き手は曳方、担ぎ手は舁方(かきかた)と称しまして、小さい頃はまともに担いでましたが、イツの頃からか車がつきまして、日当幾らで学生アルバイトが募集されまして。
アルバイトには無関係ですが、鉾が転けたりしてねえ。実際、目の前で鉾が転けるのを何回も見たことが有る。イヤ、曲がり角では有りません。直進でですから、四條河原町の曲がり角ではもっと転けてるのやろ。昨年も転けたと云うてたで。
京都の呉服屋さんも構造不況となりまして、次第に経費節減のためと曳方はボランティアを募集するよおになりましたが、鉾の囃子方は誰でも結構と、そおはイカンがな。
練習をしなアカンしねえ。隣のお兄さんも小さな頃から練習してましたが、囃子方募集の張り紙なんか見たことないし、其れなりの格式有る家で、ツテが無ければダメなんやろか。
格式としましても漠としてますが、お隣さんの場合は菊水鉾ですから、町内からして違ってますし、代々囃子方を継承されてたよおでありまして、職業は神職でした。
イヤ、どの段階であったのか、ナンで出て来たのか、面々からその手の話も出たのです。
祇園祭の主役、長刀鉾のお稚児さんのことでしたが、どんな家の子やろなあ。形式上、公募はされてますが、其処等の子と云うワケにもイカンやろ。
五位少将の官位、十万石の大名に並ぶ地位を戴きすし、保存会会員の推薦が要ることになってます。
保存会と云えば、菊水鉾の保存会理事長は高校一年の時の同級生。此れも代々継承されてまして、菊水鉾にはナニかとご縁が有ったのです。
誤解ナキよおに、高校時代は大の仲良しで、何度か浩市君の室町のお屋敷にも遊びに往きましたし、一緒に京都の神社仏閣を自転車巡礼した程ですが、卒業してからは疎遠になってます。
イヤまあ、エライ脱線してしもて。
してる間にもタクシーはBRIGHTON・HOTELに到着しました。
想い出したぞ。やっぱり、一度来たことが有る。残念乍ら、怪し気なことではありませぬ。
来たのは会社の後輩の結婚披露宴。
(02/04/29)


306.コンビニ・ダンス・ストア(16) BRIGHTON・HOTELでのお食事

それにしても一泊ン万円もするよおな高級ホテルのレストランでナニを喰うのやな。
時間的にも中途半端なためコッテリしたものも厭ですし、軽くて佳いけど有るのかなあと心配してたら、夕食には早いため軽めのものしか無いのやて。
其れで結構です。助かったと思たのですが、メニューを見ても文字ばっかり。日本語ですが、ファミリー・レストランでもありませんから写真が無いため詳細不明。
ナニにしよかいなと思案を巡らせ、無難な処でカレーにした。
錚々たる三名様も、迷いに迷われまして、カレーにピザにホット・ドックを注文しましたら、お飲物はドオされますかやて。
お飲物ねえ。ドオ致しましょうかと迷てる間にも、KAZU恵さんは開口一番ビールにするやて。酒豪やなあ。
自分だけではナンやからと、柴田さんもビールをどおですかと促されましたが、昼間っからとも云えませんが、此の時間帯でビールを飲んだことが無い。そもそも、嫌いではありませんが、好きでも無い。
正直云えば、チとでも飲めばスグにでもほろ酔い気分でお面も真っ赤っ赤になりまして、有ること無いことナニを口走るか、しでかすかも分かりませんので遠慮して。
カレーにコーヒーも合うのかどおかも分かりませんが、先刻YASU子さんからコーヒーでも飲まはったら佳いのんえと、勧められた手前も有りますので、コーヒーでも頼もかな。
コーヒーは食事のアトにされますか、其れとも同じにされますか。
どっちでも佳いのですが、佳きに計らえではウェイトレスさんが困らはりますので、同じにしてください。
さて、注文の品を待つ間のことですが、KAZU恵さんがソワソワし出した。
ナニかと思えば、食事券が見つからんのやて。此のバックの此処に入れた筈やのにあらへんのや。入れてた財布には札束ン万円が一緒やし。ドオショ、どおしょ、困ったなあ。彼処でやろか、あの時やろか。
コーヒーを飲んだ時には有ったしなあ。あの時しか出して無いし、盗まれでもしたのやろか、落としたのやろか。そやけど、バックのナカやし落とす筈も無いしなあ。そしたら、もしかしたら、盗られたのやろか。そやけど、もしかして、家に忘れて来たのやろか。
チョッと待っててなと、携帯電話を取り出し、ご主人に確認の電話です。
何処其処の何処等辺りにこんな財布が置いて無いやろか。
ナニナニ、無いてか。そおか、オオキニ、堪忍え。
困ったなあ。どおしたんやろ。食事券がなあ。折角来たのに皆様堪忍え。
イヤイヤ、謝って戴くことも無いのですが、食事券よりも札束ン万円が心配やがな。財布もどんな奴か知りませんが、超高級ブランド物ならン万円よりも高額やろし。イヤ、ブランド物かどおかは知りませんで。
とりあえず、ン万円とは高額で、私なんか怖くて持ち歩かん金額を持ち歩いてることになりますから、斯様に思ただけ。
堪忍え、堪忍なあと、平謝りで仰いますが、いずれにセヨ、無いものは致し方無し。落ち着いてから、も一度捜すしかショウガナイ。
そうこうしてる間にも注文の品が届きました。流石に高級ホテルのレストランだけに大層なことでして、カレーにしても一味違うけど、カレーそのものが多過ぎてなあ。
二食分の量ですから全部食べられるのやろか。無理して食べることもないぞ。幸にして、カレーとご飯は別ですから、ご飯に見合うだけで佳いと決断しまして。
そしたら、又もや、KAZU恵さんがお口を開き、こんなに沢山ピザも食べられへんし、KYO子さんどおですか。柴田さんもどおですか。
単なるお愛想やろと聞き流してましたら、真剣、切迫の面持ちとなりまして。柴田さん、食べてください、助けてください。嫌いでないならお願いや。
大也とは云え、女性から名指しで助けてクレ、お願いやと両手を併せて懇願されたなら、小也と云えど男性故、断固厭であるとお断りするワケにも往かず。
KYO子さんも、ホナ一切れでもと、いともお気軽に手助けの気配。ならば負けてなるものか。助けてあげましょかと、一切れ戴いた。
云うたらナンですが、私は本来無芸小食でして、ナニよりも体格のご立派なるKAZU恵さんが小食とは信じられませんぞと思いつつ。もしかして、食べるより飲むホウが佳いのか。飲めば食べられん人もあるからなあと考えつつ。其の前に、ピザも大型ではありました。
さて、YASU子さんにもご注文のホット・ドッグが届きましたら、ナンやの此れと驚愕の叫び声が轟いた。
チラリと横目で見れば大きいのです。串刺しされて、背も高いのです。ナルホド、花も恥じらう中年女性にはチと辛いものがある。中年男性の私でも面食らう。
さりとて、私は食べ出してますので、我がカレーと交換するワケにも往かず。頑張って喰ってクレと願うのみ。
写真が無いとこんなこともあるから、ファミリー・レストランが無難と云えば無難ではありますが大きさまでは分かりませんで。
そしたら、半分にでも、其の半分にでも、細切れに切ってクレと頼めばどおやろかと提案してあげれば佳かったと、思いつきはしましたが、今更では如何せん遅過ぎるワイ。
(02/04/30)


307.コンビニ・ダンス・ストア(17) 阿呆アホ合戦

あれこれ有りまして。
其方に気が往ってしもて、小心者の私でさえ緊張で手が震うことも無く、ナンとかコーヒーも零さず、お食事も喉を通ってクレました。
開演までにはマダマダ時間が有りますので、暫し雑談など。
とは申しましても、女三人ですから姦しでありまして、其処にポツリと場違いな男が一人。話はバラバラ。あっちに往ったりこっちに来たり。聞いてるだけでも頭の切り替えに苦労する。
そんなナカで、ゆとり教育の話が出まして、πが3やてなあ。今の子は可哀想になあから、話が其方に動き出しまして。KYO子さんが云い出したのです。
私は小学三年から格致に転校したんやけど、習てた場所が違てねえ。漢字が分からへんし、付いて往けへんかって、困ったえ。
昔のことを、佳く覚えてるなあ。そやけど、KYO子さんが勉強に付いて往けんかったとは意外なことを。私なんか小学生時代は夢のナカ。勉強のことなんかナンにも覚えてないでと云うたなら、柴田さんは佳い成績で大学に入らはったと聞いてるえやて。
小学校の話から突然大学に飛びまして、お鉢も廻って、ナニを仰いますやら。
何処からの情報かは知りませんが、現在に至るまでソオ信じて戴いてたとすれば、光栄の極みで、ウンウンと頷いてれば此れから先も継続ですが、私自身がどんな成績で合格したかは知りませんし、誰にも分かる筈が無いのやで。反対にビリかどおかも分かりませんですが。
其れでナンです、クドイのですが、そもそも小学生時代からの成績なら此の面々とは桁違いの凡才でありまして、正直其のよおに今でも思てます。
そしたらYASU子さんが云うのです。私なんか漢字も書けへんし、分からへんし、家で一番阿呆なんや。イツも阿呆アホと云われてばっかりなんえ。高校も私だけが市立で就職課程やったし、高校では勉強なんかしてないし。
今度は高校の話になったのですが、又もやナニを仰いますやらお二人様よ。まるっきり、阿呆アホ合戦になってしまいましたが、とんでも御座いませんです。
弁解方々名誉回復のため解説させて致けばですが、YASU子さんの仰るとおり、当世京都の市立高校はチと凋落してますが、長期不況で私立と比べて学資が安いためもありまして、またもや回復の兆しがあるのです。
我々の時の日本の経済力はもっとヒドイものでして、問答無用で市立高校が第一志望校でありました。勿論のこと、京都にも全国区的に有名な進学校の洛星高校が有りますし、洛南高校は東寺高校なる名称でありまして、当時は今とはナンです、違う高校でしたが。
其れ以外にも有名大学の附属高校等、数えてみれば別格も沢山ありますが、兎に角そんな処は除外しまして、市立が第一志望となっておりました。
隣のオール五のお姉さんが失敗されたのも市立堀川高校でありまして、当時は学資の安い市立以外は往かせてやらん、往かせられんと、中学浪人も珍しくもナシ。
云うたらナンですが、此れ又、同じ町内の幾つか歳上のお兄さんが其れでしたが、決して貧乏一家でもありません。中学浪人させてくれるだけでも裕福なんや。
念のためですが、当家と違いまして、お二方のご家庭は資産家でありますぞ。
さて、京都は学区制でもありまして、地区で往ける高校は決められており、選択不可。我が母校市立堀川高校では商業課程と普通課程がありましたが、二年の時に分離しまして、商業課程は西京に、堀川は普通課程となりました。
普通課程とは基本的には大学進学志望課程のことではありますが、YASU子さんの云う就職課程とは高校の二年から三年進級の際に再度進学か就職かを選択させられたのですが、就職課程を選択しても、教科に大差はありませなんだし、就職課程であるから何処かに就職とも限りませんで。お家で家事手伝いがあります。
そもそも、女子の大部分は堀川卒なら充分であるとして、就職課程を選択してましたし、 まあ云うたら、男女を問わず大学進学までは別にして、高校、出来れば市立高校を卒業してれば格好が付くし充分で、今様の如く、猫も杓子もナンでも佳いから短大、大学の時代ではないのです。
堀川の場合なら其の前身は市立堀川女子高等学校でありまして、女性教師を排出したとされてる名門校であります。そんな話は別にしても、女子が大学なんかとの風潮も有りました。
さて果て、KYO子さん、YASU子さんは同じく堀川出身ですが、中学三年二組五十余名から何名が受験したかまでは覚えてませんが、受験は合格の可能性の有る者に限定され、或る程度の成績でなければ担任の先生が願書を受け取ってもクレません。
結果合格出来たのは男子七名、女子三名の都合十名。其のナカの二名が此のお二方。
そんな意味ならば、私は運も手伝いまして、斯くも錚々たる面々と一緒に合格出来、肩を並べることが出来まして、自信が持てたと云うて過言で無いし、組では五本の指に入るとしたのもお愛想ではない。
仮に彼女等が大学進学を志望したならば、何処かの不幸な奴が落ちてます。幸にして理系ではなさそおですから、私は助かった。イヤ、理系であっても堀川同様、私が蹴落とされてるとも限ってませんが。
さて、こんな処でバラすのもナンですが、中学校の担任の先生との一件がありました。
私が合格の報告をしに中学校に往ったなら、其れは其れは、そおかいな。ナンとまあ、佳く頑張ったと感嘆賞賛のお言葉を戴いた。私の合格は意外であったのか。
そして仰るには予想通りの結果である。確実なのは○で、ギリギリは△、無理かなあと思われたのはXにしてたけど、○は全員合格である。
果たして、○されてたのが合格確実は分かるけど、私にどんな予想がされてたかです。
先生の机上には一覧表らしき紙切れが有ったがな。見てやれと思った其の瞬間に残念無念、世界が真っ暗闇と化す。先生が我が眼を手で蓋された故です。
其の先生も三年前に他界され、永遠の謎となりましたが、今更分かっても仕様がないがな。
(02/05/01)


308.コンビニ・ダンス・ストア(18) 余談・恐ろしい話

高校のことを解説してましたなら、色んなことが想い浮かびまして。
入学式当日、式の途中であったのか頃合いは定かでないのですがボート部が入部の勧誘で新入生を物色。
体格の立派なのが標的のため私になんか用事はありませんが、噂には聞いてました。当時の堀川はボート部が強く、国体にも出場。
体育会系で野球部なら私が中学生時代のことですが甲子園出場を果たしたのです。学区制のため何処かの学校みたいに越境入学も特待生制度もなし。
私が入学した段階では部員たったの九名。試合では他部に応援を求めたのですが、一年生の担任の先生が仰るには、甲子園に出場した期間だけは観光バスのガイドさんが此処が彼の有名な京都代表の堀川高校ですとアナウンスしてくれたゾと自慢してました。
以来、アトにも先にも甲子園出場ナシ。見込みもナシ。試合も一回戦で敗退の筈ですがテレビ中継で見た記憶がある。眼鏡を掛けた投手が孤軍奮闘してました。
このことが有ったからか、選手に頼まれたのか定かでないのですが、西京極球場に他校との試合の応援をしに往った。連れも無くたったの一人ですが、観客そのものも居たのかなあ。私以外は選手だけであったよおな気もしてるから、律儀にも私だけが応援しに往ったのか。
そんなナカ、ツカツカと人相の善くない不良らしき二名が寄って来た。中学生ですが片方は体格なら私の倍はあって立派なものでした。寄って来て云うには幾らかお金を出せ。要するに強請集りでありました。
云うたらナンですが、当時の西京極近辺はガラが悪かった。其れはどおでも佳いのですが、自転車で往きましたからポケットには交通費さえ入ってない。元々月々のお小遣いさえ貰ってないし、持ってたとしても十円やろ。
「オマエ等中学生やろ。こっちは高校生やぞ。」
其れしか云う言葉が見つからんかったのですが、恰幅の佳い方が薄笑いを浮かべやがって、
「嘘をつけ。高校生の証拠を見せてみいや。」
夏場であったのか学生服は着てなかったのです。よって、オモムロに学生証を見せてやった。
「ホンマやなあ。此奴、高校生やて。」
相方に其れだけ云うて退散したのです。当世と異なり、一定の規範がありまして、悪餓鬼も歳上には無闇に手を出さなんだ。かどおかは分かりませんが、私は小柄故、中学生に見積もられた気配。彼方さんは予定が狂て当惑しただけ。
強請集りに遭遇したのはアトにも先にも此の一回だけで、イザとなっても、さあ殺せ、無いものは無いと裸でパンツ一丁までにはナンですから、手出しをされるよおなら、応戦覚悟。
此れまた、強請集り手も今時みたいにナイフやフォーク、スプーンも持ってませんから、ナンとでもなるので落ち着いてました。其れよりナニより、相手は中学生やで。小也と云えど堀川の高校生を馬鹿にすなと闘志満々は犬の遠吠えか。
同じく入学頃のことですが、新調の詰め襟の学生服に身を飾り、新調の学生帽を被りまして、いそいそと、西洞院四條上がるの九の市、つまり九のつく日には夜店が出たのですが、遊びに出掛けまして。此れ又寂しいことに連れも無くたったの一人。
ヤッパリ中学生くらいのが、ツカツカと寄って来まして、
「其の校章は堀川のやで。合格して高校生になってからでないと付けたらアカンのやで。」
と注意されたのです。
早い話が中学生と間違われたのですが、この一言は複雑な気分にさせられた。嬉しいやら馬鹿々々しいやら。其の学生帽は一ヶ月で紛失。以来、買ってもらえず。
ついでに似たよおなことが大学生のときにも有りました。
百貨店か何処かの食堂で食事をしてましたら。またもや寂しいことですが、居たとしても家の者です。側の席に座ってたお婆さんが、ツカツカ寄って来て、私の顔を覗き込み、
「賢いのやねえ。大学生ですか。」
咄嗟にはナンのことか分からんかった。ツラツラ考えまして、もしかしてですが昔の飛び級と勘違いされたのか。
今や私服が多いため社会人か学生かの見分けさえもつきませんが、当時は学生服に校章と学部のバッジを付けてましたから、一目瞭然何処の大学生か学部まで分かるのです。分かるから悪いことも出来ませんが。
さて、話を高校の入学式に戻しまして、ボート部の勧誘に気を取られてましたら、ポンポンと背後から肩を叩かれた。
「君々水泳部に入らへんか。」
云うたらナンですが、体育会系からお声が掛けられたのは此れ一回だけ。
「水泳部に入ったら背が高くなるぞ。今の時期が大切なんやゾ。朱雀高校と西京極プールで只で泳げるぞ。」
同じ市立では近くの朱雀高校にはプールがありました。堀川には無く、グラウンドも狭かった。
先生の言に寄れば、元女子高校故、日焼け防止のタメである。説明内容はともかくとしてグラウンドは嵯峨広沢池の畔に有りましたから体育の時間はスクール・バスで移動です。
兎に角、此の殺し文句で入部した。二年生が一人だけで部長です。一年生部員は四名となり、総勢五名の部となりました。
水泳部での話も一杯ありますが、省略してしもて、二年生への進級の前のこと、担任の先生から教員室にお呼び出しがありまして、お叱りを受けた。
「水泳も結構やけど、成績も深く且つ着実に潜水しておるゾ。
水泳選手に成る気なら佳いけれど、進学したいなら化学部とか文化系の倶楽部に変更せよ。文化系の部員も少ないから、即部長にされてしまうかも分からんが。」
そんな訳で、素直に化学部に衣替えで、案の定即部長やて。やっぱり二年生が一名だけでして、一年生が五名程居たのかなあ。
其の時の一年生で次期部長に指名した奴は米屋の息子の秀和君。家まで説得に往ったのです。
現在、京都府立大学助教授で土壌学を教えてるのやて。
ソラ、恐ろしいことでありますが、確かな人選であったと自負してまして、今でも年賀状だけですが、音信有り。
(02/05/02)


309.コンビニ・ダンス・ストア(19) 余談・公立高校

そお云えば、大学四回生のときにもパチンコ屋で私服警察官から補導されかかったこともあったがな。
四條大宮の大将軍の下でパチンコをやってましたら、突然人相の悪い中年のオッサンが寄って来た。一瞬、ヤクザかと身の凍る思いをしたら、警察手帳を見せられた。
何処の学校やと職務質問やで。場所が場所だけに、ナンの身に覚えもないけれど、困惑してたら、学生証を見せてクレ。
ヨッシャ、頑張ってクレで終わったけど。折角勝ってたのにガタガタにされてしもた。
今なら女性客も多いよおですが、当時は男ばっかり。居ても婆さんで、ヤクザっぽい雰囲気でもありまして、チと後ろめたさもあったから余計です。イヤ、此処二十年はパチンコも麻雀もやってませんです。
さて果て、考えて見れば、高校の先生が化学部にしなさいと指示された訳でなし。
何処かの倶楽部に所属せねばならぬキマリもなし。
成績不振であるから水泳部を辞めなさいが主旨でしたが、隣のお姉さん同様、応用問題が苦手故、お言葉のまま受け取りまして、化学部にしたのです。
勿論、科学であれ化学であれ、歌学はダメですが、実験するのは大好きでもありまして、ナルホドそおやなあとウンウンと大きく頷きました。
そもそも、一年生の担任小辻直之進先生は英語の教師でありまして、化学ではないのです。
ハワイ旅行さえも珍しい時代に、英国には何回か旅行されており、其の自慢話を佳く聞かされてましたから、英会話倶楽部等であれば、受け取り様も異なりましたが化学部だけに意外性もありました。
そして、高校での理科は一年が生物。二年が化学で三年が物理。化学はこれから習う教科でもありました。
二年の担任は高橋生子先生となりまして。生子ですから、海鼠、ナマコと渾名してたのですが、此方が化学の教師ですから化学部担当でして、一年生を飛び越して、イキナリですが入部のご挨拶にお伺いしましたら、佳かったワと大歓迎して戴いた。誤解ナキよおに、担任が決まる前のことですぞ。
そして、丁度佳い。二年生部員がゼロになるから部長をやって欲しいなあ。
其れにしても、部員総数が五名とか六名とか。野球部でも九名とは我が校の生徒数は一体どれだけかとなれば、私の学年だけでなら約五百名でありました。
ところが、二年生になりますと部長をやらされる危険性がありますので、二年になる前に部員は逃走してしまうし、三年生では受験準備のためと称して倶楽部活動など念頭にナシ。
それくらいのことは分かってましたが、水泳部よりは体も時間も楽ですし。ナンせ純情可憐で真面目で晩生で単純で、正直のウエに馬鹿がつく故、先生のご指示と勘違い。
其れでなくとも、当時の概念では先生のお言葉には絶対服従でありまして、無視造反揚げ足取りは万死に値する。
其処までは考えてませんが、遁走セズ。ハイ、分かりましたと受諾です。
ところがですが、卒業アルバムでも見なければ、三年の担任の先生は誰であったのか、面倒見が悪く接触も少なかったせいもありますが、名前も顔も思い浮かばん。
そんなことはどおでも佳い。此方は中学三年のミニ・ミニ同窓会で、ホテルでの食事の後の雑談でありましたが、ついでのことに、中学校ではナンの倶楽部にも所属してませなんだ。
イヤ、中学生になればとテニスをやりとおて、入部したのですが球拾いばかりさせられ、ピョン飛び、蛙飛び、ウサギ飛びに片足飛びの訓練ばかりで三日で音をあげた。
其の前にラケットが無かったし、自前やったものでして。其処まで考えてなかったもんでして。
次ぎには憧れの剣道部を覗きまして、正座をさせられ、竹刀で叩かれ、寄って集ってシゴキに合おて、腹が立って三日どころか初日で退散。
其の前に竹刀に防具が無かったし、自前やて。ラケットが無理やのに無茶云うなと。
その点、水泳なら丸裸に海水パンツ一丁ですみますし、競泳でもゴーグルに帽子もナシでやってたし、化学なんか材料、器具は学校に有るから自前ではナンにも要らんのや。
イヤイヤ、話の発端はナンであったのか。
公立高校出身者は肩身が狭くなったとの愚痴からですが、此の気持ち佳く分かる。
ハッキリ申せば、有名進学校となら落ちますが、今時の私立高校の特進学級なんかより、学力なら数段ウエでありましたと自信を持って断言出来る。
無理も無い事情もありまして、ご家庭の経済力も数段豊ともなりまして、めぼしいのは有名私立の進学校に刈り取られてしもて、二年間で三年生までの教育をやり、三年生では受験技術の訓練、訓練の毎日では、そこらの公立、私立が勝てる訳が無い。
と、大学の同期生が洛南高校で数学の教師をしてまして、二男の通てた幼稚園でバッタリ会おて聞きましたがな。おまけに何処の私立高校かまではナンですが、合格した大学全てを列記で水増しやて。
詳しくはナンですが、簡単簡潔に説明すれば卒業後の進路先で一目瞭然、分かりますが、正確な進路先でないこともある。
いずれにせよ、此処に現在の高校教育の大きな歪みが有りまして、中学生ご本人様も親御様も悩まされてるのです。私立となれば彼方此方有り過ぎて、帯に短し襷に長しでもありまして。
其の点、公立高校が地位奪回さえしてくれれば、区域制ですから選択の余地なし。水増しもナシ。位置関係にも寄りますが、殆どは学校が近いため交通費が安いし、公立やから学資も安い。
結果、親は助かるし、卒業生も鼻が高くなるのやワイ。そやから、頑張ってクレと誰に云うたら佳いのやら。
とりあえずは、足まで引っ張る邪魔者の文部省解体と其処に巣喰う東大出身官僚を即刻解雇すれば、一気に解決出来ることは此の三十有余年の実績で証明されてます。
(02/05/03)


310.コンビニ・ダンス・ストア(20) パソコンの話も出たけれど

倶楽部とか補導されかかった話なんかしてませんで。
高校の話もしてないし、私の息子共も私立出身ですし、ゆとり教育は問題や程度です。(「憂国NO.6」文部省新学習指導要領の怪参照)
さて、私等の歳が境目やねえ。運転免許を持ってナイ人が多いみたいえ。
とはYASU子さんの言ですが、同年輩の女性では運転する人が少ないのやて。
そお云えば、私の従妹も一歳下で免許は持ってませんし、ご町内の奥様方でもお歳になればなる程お持ちで無い。其れでズッと過ごされてますから不便もないよおで。
運転免許もやけど、パソコンもえ。私等の歳ではパソコンと運転が出来るかどおかの瀬戸際やて。とは、KAZU恵さんの言でありまして。
そしたら、KYO子さんが又もや私にお鉢を廻してクレた。
「柴田さんは其れの専門家え。」
イヤイヤ、私は電気工学専攻ではありますが、パソコンの専門家ではないのやけど。
単なる使用者でありますので返答に窮してる間も無く、話は彼方此方に展開しまして、パソコンの話も何処かえ消え往った。
と思てましたら、一巡しまして、KAZU恵さんが、
「EXCELはカーソル操作だけで勝手に計算してくれるし、家計簿も楽やわあ。」
ホオ、EXCELを使いこなしてるとは大したもんや。
「私なんか、キー・ボードも片手で指一本で、ポン、ポンと一つづつ叩いてるだけやし、シンキ臭いことやなあ。」
ホオ、YASU子さんもパソコンを使てたんかいな。
「ナニも猛打檄打とブラインド・タッチと云うのかなあ。速度ばっかり早かっても、競おても、内容が伴わんかったら意味ないし、他人様の原稿をパソコンに打ち込む仕事なら速さが勝負ではあるけれど、其れで生活してる訳でもないなら打てるだけで充分や。」
私も早くはありません。猛打檄打も馬鹿々々しいから試したことも無い。掲載文にしても、考えてる時間は長いけど、打ち込む時間は知れてますが、手直しの時間は長いかなあ。
パソコンそのものにしたかても、アアやコオやと、無くて死ぬ訳でもないし、ガタガタ騒ぐ程のことでも無いのです。イヤイヤ、とりあえずは造反さえしてくれなければ結構です。
そしたら、誰とは申しませんが、
「パソコンでインターネットも電話代が嵩むねえ。」
電話代ねえ。以前のテレホーダイしか無かった頃なら分かるけど、今やそんなこと無い筈やしと、
「イヤイヤ、今時フレッツが有るし、一律料金になるけどなあ。」
ソオ云うてるのに、
「主人と子供がやってるから、一斉にやられたら電話代も嵩んで大変なんえ。」
「イヤイヤ、ルーターが有るし、其れでやったら、何人やっても電話代も一緒の料金になるのやで。」
「そんなこと無いえ。高いえ。」
等と、マッタク聞く耳持たず。聞いてもクレませんのや。相も変わらず頑固やなあ。
とは云えど、ご家族が一斉にとのことですから、ルーターでやったはります。
誰とは申しませんがやってるみたいなこと云うてたからチと確認してやった。
「年賀状にURLを書いてるけど、見てクレてるか。」
「メールはナカナカ見てクレへんやろな。電話のホウが早いやろ。」
「イヤ、メール・アドレスと違うのや。ホーム・ページのアドレスのことやけど。」
と説明すれど、反応なし。残念無念、我がサイトを見てくれてないゾ。
お次も誰とは申しませんが、
「ホーム・ページを見たはるかどおかは開いた数で分かるんえ。」
「其れはカウンターと云うのやがな。」
「そおか。」
との返事がありましたが、パソコンの話が出ても説明に困るし、話が噛み合わん。パソコン教室でも無いし、口角泡を飛ばし力説する場でもナシ。
運転免許もパソコンも、有って便利ではありますが、無くて生活出来ぬ訳でナシで、死ぬ訳でもナシ。此の年代の女性なら、イヤ、男性でもですが、パソコンに触る勇気が有るだけでも異例中の異例。
そんな間にも時間が迫って来たからボチボチ出ましょうか。時計を見れば六時になってます。時間の経つのが早いこと。
此れから烏丸丸太町の花屋さんで出演者YO子さんに渡す花束を買うのやて。
そおやったなあ。YO子さんの演劇を見に来てたのや。
下手したら、ナンで此処に集まってるのか、ご本尊様を忘れる処でありました。
(02/05/04)


311.コンビニ・ダンス・ストア(21) 奇数偶数吉数濁音言霊数霊の世界

BRIGHTON・HOTELでの特大のお食事を済ませ、談笑もして。
郁文中学三年二組同窓生御一行様は烏丸通りを丸太町に雑談などし乍らテクテクと。
近いのです。所要時間約五分で四つ角の北西が花屋さん。ナンとマクドナルドが出来てるゾ。
此処はアオキ書店の有った場所。アオキ書店も現存してますが、其の昔には佳く立ち寄った本屋さんでもありますから懐かしい。されど、花屋さんとマクドナルドは記憶に無いゾ。
こんな処に有ったかいなと口にしたならば、側に居たKYO子さんが昔っから有ったえ。
KYO子さんに断言されますと自信は霧散するのですが、マクドナルドは無かったゾ。花屋さんは無縁故注意さえしてなかったから、有ったやも知れませんが、KYO子さんと私には昔の基準にズレがある。
私の昔とは学生時代のことでありまして、マクドナルドは日本に上陸してなかったゾ。がしかし、ナンせ錚々たる面々には逆らうことは出来ませんし、そんなことはドオでも佳い。
狭い場所に千客万来。しかも若き女の子ばかりがひしめき合ってます。慣れてないためオッサンは居辛いのであります。
意に反し、バランスを崩しチとでも触れて痴漢と間違われても困ります故、敢えて危険地帯に押し入ることもない。花を愛する娘ならばお気は優しくて大騒ぎセヌとは思えども。
其のまえに花の種類も相場も見当つかず。相談されても困ります。心配セズとも相談されることは無いのです。才色兼備のお二方様であります。
兎に角、調達はKYO子さんとYASU子さんにお任せで外で待つことにした。
お花も男だけなら思いつきも致しません。思いついた処で買いに往くのが邪魔臭い。其処は流石に女性ですからシッカリと。
自慢にはなりませんが、花には弱い。苦手で、サッパリで関心ナシ。現物を見ても名称が分かりません。
立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花。此のナカでも芍薬は怪しいし、チューリップ、コスモス、朝顔、ひまわりに、アトはナニが分かるのか。薔薇にカーネーションかいな。
要は、生物が苦手で、メンデルの法則と血液型の組み合わせしか覚えてない。
花の名称など、生物の範疇ではなくて、一般常識の世界。そしたら、一般常識に欠けてるのですが、そお嘲笑われても腹立たず。
そんな内部事情は別にして、こんな場合の花束にはナニが適当かも判断つかず。
病院のお見舞いでは鉢植えは避けるべきとは分かってまして、そのまま病院に寝付いてしまえの意味になる。
YO子さんに鉢植えはナンやしなあとKAZU恵さんは申してます。
花束ですから鉢植えはナンやろなあ。鉢植えのホウが値は安いのですが、花一本で千円もするのが有るのやで。
本数も奇数が慶事で、偶数が忌事のトキ。偶数は割り切れるからアカンとかで、云い出したら切りが無いのんえとKAZU恵さんが申しておりました。
サテ果て、単なる独白ですが、そしたら、ナンで割り切れたら不幸のトキで、ロシアの風習であるとか日本古来からの慣習であると、諸説紛々ではありますが、ロシアになんかに親戚も知人も居てませんし、冠婚葬祭なら何処の国でもやってます。中国から伝わったと云われるなら合点するけど。
さりとて、世間の慣習に逆らえば此奴ナニ奴かと思われるなら従うホウが無難故、屁理屈抜きに数は見合うよおにするべきもの。
其処で、独断と偏見ではありますが、奇数、偶数の出だしは奇数は吉数の語呂合わせではと考える。迫力を持たせ、説得力を増さすなら、言霊、数霊の世界でありまして。
一月一日、三月三日、五月五日に七月七日。此れの説明は要りますまい。九月は無いけれど、九は苦に通ずる故、忌み避けて、偶数の四は死に通じるし、強引ではありますが、偶数なる濁音を忌み嫌う。のではなかろおかと。
此のホウが世間の風評よりも余程理論的で尤もらしいと思うけど如何かな。
其の花で、薔薇をお歳の数だけ差し上げて意中の女性をモノにした話も聞き及ぶ。
されど、私にそんな器量ナシですが、此の場合、年齢だけに奇数、偶数はどおするのやろ。昔からの慣習なら、満やろか数えやろか。相手が女性だけに少な目が佳いゾとか。
等と要らぬことを考えたりで、花は綺麗であるのは認めてますが、此の程度のことで一生の問題を左右されても佳いものかとぼやいてたら、
「女の人は花が好きなんえ。」
KAZU恵さんに独り言を聞かれてました。意味がチと違うけど。まあ、佳いか。
お店からよおやく出て来たお二人さんが、ナニがナン本でナニがナンとかで、都合幾らでと詳細のご報告で、失礼なことに私なんか目つき顔つきだけは真剣に聞いてるフリしてましたが、偶数か奇数かも覚えてない。がしかし、大丈夫です。全面的にご信頼申し上げております。
そんなことより、時間が無いから急がねば。開演五分前に迫ってます。指定席ですから席の確保はされてますが、ユックリもしてられん。
名目は郁文中学三年二組同窓生御一行様ではありますが、当時とは数倍の歳喰ってますので走ってでは一分と保たずに息切れで、ハアハアと醜態を世間に晒すのみ。タクシーを拾て京都府立文化芸術会館に。
無事、ホール前に着いた途端にKAZU恵さんが一言叫んだ。「有ったワ。」と。
一騒動の、無くした、落とした、捕られた、家やろかのバックに入れた筈の財布がバックのナカに見つかった。ン万円とBRIGHTON・HOTELの食事券。そして、財布そのものが無事でありました。
おめでとう御座います。佳かったなあと握手でもして差し上げたい処ではありますが、急がねばなりません。口々に佳かったなあとお悦びだけを共有しまして、ソソクサと。
そしたら、何処を捜してたんやと思いはし乍らも、見つかれば其れで佳し。
兎に角、開演時間丁度となってます。
(02/05/05)


312.コンビニ・ダンス・ストア(22) 喜劇と化した源氏物語

ホールは意外に広い。
まるっきり映画館か劇場みたいで、佳く考えてみれば演劇を見に来たのでありました。
後の席には空きもチラホラ目立ちますが、前方は満席。ザッと八分の入りと推定して観客四百名程度。
世間周知の有名玄人俳優が出演する訳でナシ。名も無き素人集団の演劇発表会で此れだけの観客を動員出来たら大したものです。盛況です。
指定席ですから先頭から三番目の真ん中四人分がスッポリ空いており、通路側のお方にスミマセン、スミマセンと平謝りに謝り乍ら着席しまして、ホッと一息ついたなら、時間は過ぎてますが開幕してませんで。佳かったなあやけど、勝手ですが、遅いなあ。
花束とプレゼントは受付に沢山置いてありました。プレゼントもYASU子さんが手配してまして、指定席予約の際に預けてます。
ホール入場の際、受付で戴いたパンプレットを覗きましたなら、YO子さんの役柄も出てるのです。大したモンやで、ライザやて。失礼乍らその他大勢の名も無き通行人か馬か木か程度かなとも思たのですが、其れなら郁文中学三年二組同窓生御一行様は呼ばんやろ。
ライザがナニでどんな役柄か知りませんが、隣の席のYASU子さんに、
「此処に載ってるなあ。」
と耳打ちしたら、小声で、
「柴田さんもどおなんえ。」
オイオイ、ナニを云うてくれる。
発起塾に入塾したらと云う意味ですが、性格が違うがな。モノも違うがな。
どお違うかとなれば、舞台に立つ勇気ならご同行の女性陣になら有り得ます。所謂、物怖じしない性格でして、度胸満点であります。
私なんか、舞台に立ったとしても手足が震えるどころでない。瞬時に世界が真っ白。
台詞も発することも出来ず。出たとしても、意味ある言葉に成らず。シドロモドロにドモリにドモり、只々両手両足胴体の五体はガチガチになり、口目眉頬は引き吊り、顔面蒼白。
小心者ですから観客席で好き勝手放題にアアやなコオやでと雑談してるのが関の山。常に雑談は簡単であります。無責任にやってれば佳い。余所様に聞こえぬ小声であれば、顰蹙を買うことも無い。
演者は練習に練習を重ね、糞度胸を付けて、此処に此の場に観客の面前で発表の場を得てるのです。
とか云い乍も、斯く申す私も堀川高校三年のときでありますが、学園祭で三年八組主催の演劇に出演したゾ。正確には無理矢理にさせられたゾ。
演目は源氏物語でありまして。私は宰相役でした。小柄故、最小とも聞こえました。
出演者は男女各々三名。ナンで私が要員に決まったのか記憶に無いのですが立候補したので無いことだけは確かです。
女子三名は妙齢の美女役で男子三名も女性役ではありますが、年増役。つまりは登場人物全員が女性であますので、宰相も女性で年増でありました。
源氏物語ではありますが、色男の光源氏は出て来ないのでありますが、詳しな内容は想い出せず、台詞だけは一杯ありまして、覚えるのに四苦八苦した。
練習は放課後に何週間かブッ続けにしてましたが、表現微妙でありますが、馬鹿に成り切れず、徹し切れずのままに本番当日と相成りました。
当日になりまして、衣装を着まして、カツラも被り、格好だけは準備万端整い、台本片手に困ったなあ。ナンにも覚えてないでと舞台である講堂の裾の端のその先でブルブル震えておりました。
私だけでは無いのです。男子出演者三名が舞台に立った其の瞬間より、頭のナカが真っ白けになりまして、台詞が出て来ない。止せば佳いのに観客席を正視してしもて、余計に気が動転、記憶喪失、言語障害、痴呆症。演技所作も台詞も無茶苦茶となり。すっかり忘れてしもて、舞台のウエで、オイ、どおするや。
場面だけは進みまして、年増役二人で押し合う処がありまして、相方も本番でチカラが入ってしもて、押されてひっくり返ってしもてねえ。カツラがスッポリ脱げて、慌てて被り治せば前後が反対でした。相棒は浩治君とハッキリ覚えてます。
演目の源氏物語は極真面目な劇の筈でしたが、喜劇と化す。予期セヌ出来事に観客も大笑いで拍手喝采。
出演者も観客席の反応に吊られて笑い転げてしもて、劇は支離滅裂のまま幕となりました。
佳き想い出ではありますが、二度と大勢様の面前に出るのはご免被る。
(02/05/06)


313.コンビニ・ダンス・ストア(23) 開幕開演本題突入

イヨイヨ開幕であります。本題突入であります。
ゆっくりと緞帳が上がれば、見えて来たのがダンスです。
演目がコンビニ・ダンス・ストアですから、ダンスがあっても不思議でない。踊り手が三十名程ですから、出演者勢揃いやろか。
ならば、踊り手のナカにはYO子さんも居る筈です。何処やろ、何処やろと必死に捜すのですが出演者三十名様ともなれば容易に見つからん。四列になってますから余計にです。
オマケに皆様、ド派手な化粧。化粧されてないお方もありますが、女性なら多少はされてると思いますが、何年も会ってないから尚更分からん。
但し、最前列で無いことだけは確かです。
お顔をどのよおに修正して差し上げてもYO子さんの面影には程遠い。年齢的にはもっと歳の筈とか若いやろとか。
身贔屓と云うのか、此の人よりはチと美人の筈とか、大柄とか、体型がとか。イヤ、何年も前にしか会ってませんからYO子さんの変貌程度にも寄りますので自信ナシ。
されど、骨皮筋子さんやあるまいに、此処まで痩せて無いゾとか。腹出太美さんでもあるまいに、其処まで太って無い筈やとか。
誤解ナキよおに云うてオク。私の基準では肥えても痩せてもいませんです。中肉中背でありまして、私など、軽薄短小に近い故、どちらかと云えば、重厚長大が羨ましい。但し、限度があります。
更に、飛び切りの美人ではありませんが、問題無く美人の部類に入ります。何せ、私にとりましては錚々たる面々の一員でありまして、才色兼備。がしかし、何年も会ってない。
サテ果て、最前列でなければ、二列目でも無いゾ。そしたら三列目か四列目になるのですが、三列目でもなさそおで、四列目ともなれば踊り手が重なりまして見え隠れして、果たして何処に居るのかなあ。
緞帳が上がったその時から観客席の彼方此方でキャーキャー、ワーワー、大騒ぎとなりまして、小声でなければ顰蹙を買うどころか、異様な雰囲気と化してます。
後の席が騒々しいゾ。両側もやゾ。真ん中の前席一帯、つまりは我が周辺だけが比較的物静か。
舞台が真正面のため演者がマトモに見えるセイもある。マトモ過ぎ、此方が気恥ずかしくなってるのか。
にも関わらず、私からは一番遠方に陣取った、KAZU恵さんの叫び声だけが喧噪に負けず劣らず我が耳に飛び込んだ。
「YO子さんや。彼処に居たはるえ。」
彼処とは何処やいな。
「そおや、そおや。一番後に居たはるわ。間違いないわ。YO子さんや。左の方え。」
くれぐれも、私は声出して聞いてませんで。KAZU恵さんが勝手に大声出して騒いでるのです。錚々たる面々のクセになあ。
ナニナニ、其れで一番後の左側ねえ。私の席からは丁度其処等辺りが見え難いのです。消去法で捜してますが、一カ所だけが見えてない。タブン、彼処辺りやろと思てました。
時折ですが、其の一人がチラリと見えまして。体の一部、手とか足に体だけが見えても分からんのです。顔の一部が見えるに連れ、アレであると確信を持つに至る。
黒っぽい衣装に身をまとい、器用に踊る姿が見え隠れ。余計なお世話ですが、振り付けを間違うなよ。一人だけが間違おたら、格好悪いゾ。恥晒しやゾ。
観客席故、見てるだけですが、我が身がやってるよおな気分となりまして。
お目当ての相方を見つければ、ワーワー、キャーキャー、彼処やわ、彼処やでの周辺の掛け声も次第に平穏沈静化。
一時はどおなるのかと心配したのです。
我を忘れ、舞台に駆け上がり、一緒にダンスするのでないかと。
(02/05/07)


314.コンビニ・ダンス・ストア(24) コンビニ考(1)

舞台には絵に描いたコンビニの商品陳列棚と会計が設置してあって、如何にも手造り。
イヤイヤ、其れで充分に分かります。
お題目がコンビニ・ダンス・ストアですから、お話はコンビニ店内で展開することになる。
さて、ダンスが終わりまして、全員退場。オモムロに登場したのが結婚式の披露宴帰りの中年ご夫婦。
会話の内容からは、奥様がモッと店内を物色したいと主張して、買い物に付き合うことに苛ついたご主人との口論勃発ですが、奥様がコンビニでナニを物色するのか、場所が場所だけに主張がヘンですが、下手な理屈は云うまいゾ。
私はコンビニで口論したことはない。そもそも、コンビニに入るとしても、携帯電話に呼び出され、帰りしなに明日の朝のパンとパックの牛乳が無いから適当なのを買おて来てクレ。
当家の朝食はパンとカフェ・オーレ。嫁はんから頼まれるから仕方なし。甘党故、ピーナッツ入りチョコレートの物色したりもしております。
以前なら、パンだけとか牛乳だけでは小柄とは云えど佳い歳したオッサンの買い物にしてはチと金額がと。少な過ぎてはバツが悪いし、店員さんにも悪い気がしまして、格好付けて余計なものまで買い求め。慣れるに従いまして、不要不急の追加の一品は辞めてます。
余所のお客を観察致しましても、パン一個だけ。或いは、おにぎり一個、缶コーヒー一個だけとか、雑誌に漫画数冊は立ち読みだけでもありまして、度々気を使てたら、私のお小遣いが減るだけやんか。
その他目的が明確ですので所要時間長くて五分。異常に長くて十分。其れ以上なら、何処に有るのか店内をウロウロと捜してる時間が長いだけ。
お好み焼きのタレを頼まれたときがそおやった。場所を捜すのに狭いコンビニ内を二巡三巡して、らしき棚を見つけても、どれがお好み焼きのタレかが分からんかった。
イヤ、目の前に「お好み焼きのタレ」なる商品も有ったのですが、横には「すき焼きのタレ」もあったりして、ヤヤコシイ。
慌て者故、所謂お好みのタレと勘違いしてまして。ホカにも焼き肉の黄金の味、ドレッシング等々、其れらしき物が無いから此れで佳いのかと。
自信のないまま悩みに悩んだ末に決断した。此れしかないし、此れにしてオケ。間違おても死ぬことは無いし、ナニかのタレに使える筈。
夫婦でコンビニに入ったのは五本の指で足る回数。セイゼイ、出先からの帰りしなに明日のパンと牛乳がと、大抵は其の程度です。
がしかし、口論まではしませんが、百貨店、スーパーなら、自分の物も見たいからとのことで、私は本屋で待つことになってます。
待たされる限度約三十分。死ぬ程頑張っても一時間。そもそも、時間待ちの本屋さんで一時間以上粘れて無理やろな。
紀伊国屋や駸々堂、オーム社なら本も多いです。一時間でも二時間でも物色出来ますが、百貨店とスーパーの本屋は一巡するもスグ飽きて、二巡三巡は辛いです。
云うたらナンやけど大した本も置いて無い。欲しい本なら本屋に出掛けて買おてます。とか云い乍らもナニか買わんとイカンよな気がしてしもて、文庫本を一冊、四巡目で買い求め。
買おてからシモタなあ。其の直後に待たせたねえと嫁はん現わる。
正直申せば以前なら、感情が顕著に出てました。予定時間を一分過ぎてるぞと、ムカッとしてたのが、イツの間にやら訓練宜しく我慢強くなりました。と自分では思てます。
何れにセヨ、此の問題は男女間で大きな差が有るのです。女性は見てるだけで楽しいとのことですが、されど、ナンで買うつもりの無い物まで見たがるのか理解に苦しむ処。覚えておいて、同じものが安くであれば、得やんかいさやて。分からんなあ。何処其処で幾らのが、此処で幾らとは聞いたことが無い。
まあ、宜しい。事程左様に百貨店、スーパーの本屋さんは私と同類の時間待ち男の溜まり場と化す。
そんなことを思い乍ら劇を見てたのですが、舞台のコンビニにはお客がチラホラとご入場で、ご夫婦の会話も白熱。次第に激論口論口喧嘩となりまして、遠巻きに聞き耳立ててたお客が参戦した。
ご主人の言い分に同感である。イヤ、奧様の言い分に共感すると。此れ又、伯仲してしもて、張本人のご夫婦そっち退けで、当事者唖然呆然。
されど、細かな展開までは覚えてません。
そんなことより、発起塾は素人集団ですが、ご夫婦役の人は長い長い台詞を佳くぞ覚えてると感心ばかりしてました。台詞が流暢だけでなく、表情豊かでありまして。所作も立派で玄人顔負けの迫真の演技。真面目な源氏物語を喜劇にしてしもた張本人の私がエラソオに評論するのも異なことなれど。
それは佳いのですが、YO子さんはイツ出て来るのかと気になって、内容どころで無いのです。
と、思てましたら、黒い衣装、頭にはカラフル、ド派手、頭一つ分の大きなお花をお付けになって登場です。早い話が其の格好で町中を歩けば誰もが振り返り、可哀想になあと同情されますが、登場しても、論戦を遠巻きに見てるのですが、遂に我慢堪らず発言した。
お見事、とちりもセズに流暢に表情タップリに淀み無く、長い長い台詞を披露しました。
そのことばかりが気になりまして、台詞の中身はナンやった。
(02/05/08)


315.コンビニ・ダンス・ストア(25) コンビニ考(2)

YO子さんの登場以来、次ぎはナニをするのか気になって、余所様の演技は上の空。
ご夫婦のどちらの応援団であったかは分かってるのです。奥様陣営に居てましたから、其方の方ですが、台詞の中身は聞いて無い。
そんなナカ、一人だけ気になるのが居たのです。所謂黒子装束で身を包んでますから、黒子かなあと思てましたら黒子でした。
出だしのご夫婦二人だけの場面では居て無かったのですが、チラホラご入場のお客さんと一緒に紛れ込んだ。
暫く出番は無かったのですが、演劇が進行するに従いまして、出演者も入れ替わり立ち替わり、乾坤一擲、命掛けの台詞と熱演を披露ですが、掛け合い場面で失語症に陥られたては相方が困ります。
其処で黒子の登場となりまして、次第に黒子が目立ち出したのですが、大したものでYO子さんには用事は無かった。
こんな処でも男女の差が出て来るのか。糞度胸が勝ってるとでも云うべきか、総じて女性はシッカリで。
流石のご夫婦役も大一番の出だしは流暢そのものでしたが、真ん中辺りで僅かなる失語症。まあ、無理無いよなあ。台詞が一番多いのです。
応援団にしましても、一度ならず二度三度。何度か出番が有りますし、台本片手の黒子役が控えてるとしても、全部を教えて戴く訳にも往かんしなあ。
私なんか、逆立ちしても真似出来ません。夫婦役にでも指名されたとしたらのことですが、其の瞬間に血液逆流、脈拍激増。天上向いて口から泡吹き、そこらを徘徊。迷走の果てに気絶卒倒昇天、葬式が出る仕儀となる。
想えば高校の学園祭にでも黒子の配備が要ったなあ。居てたとしても場内の雰囲気に威圧され黒子の支援も無駄やろし、お耳に入り、アトが続けられるだけでも度胸満点と云えますが、黒子採用の名案も今更では遅すぎるワイ。
ところで、演劇の舞台、コンビニがイツ頃出来たのかまでは知りませんが、今や路地裏まではナンですが、国道筋にはコンビニの隣もコンビニであったり、チョッとした道路の四つ角にはローソン、セブンイレブン、AM/PM、サークルKの揃い踏みであったり。
入り損ねても、暫く車で走れば見つかりますから慌てることもない。
殆どは立派な駐車場完備。以前なら大型車お断りの看板も見掛けましたが、見当たらんよおになりました。過当競争に生き残りを掛けるなら、そんな野暮なこと云うてられん。
トイレにしても変質者の横行で、多くが取り壊されまして、パチンコ屋さんが相場から、コンビニに移行。コピー機からATMも有りますし、お店に寄れば、お酒も煙草も有りますし。名実共に便利になりましたが、成り過ぎて運動不足になります。
コンビニも昔で云えば、万屋さん雑貨屋さんの類ですが、煙草屋さんでもあり、駄菓子屋、酒屋さんで、電池も置いてます。文房具もありますし、週刊誌と漫画本屋にパン屋に弁当屋におでん屋もやってたり。
通販の決済も出来るし、運送屋さんの集荷場でもありまして。ドッグ・フードまであったりして、万屋と云うよりも、ナンでも有りのナンでも屋さんか、チョッとしたモン屋になるのかなあ。
京都に居た頃は、町内にもお店がありました。一軒は煙草屋兼の駄菓子屋さんで、もお一軒は煙草屋兼の万屋の人見さん。
人見さんは煙草屋さんだけに、かつては美人であった筈の看板婆さんが店番してまして。イヤ、実際にも美人であったやろと思てます。若かりし頃を飛び越して、婆さんになってからしか知りませんが片鱗は伺えた。
軍手、マスク、炭、豆炭、練炭、タオルにウチワに楊子に安全マッチ。ヒチリンとかお餅を焼く金網。割り箸、火箸、蝿捕り、風鈴、落とし紙等々が置いてあったけど、品物の例えが古過ぎるかなあ。ナンせ、三十年以上前のことであります故。
其の真向かいには駄菓子屋の白川さんがありまして、数軒置いてパン屋の橋都さん。豆腐は西洞院まで金盥持参で買いに往き。
イヤイヤ、コンビニに豆腐は無かったのか。スーパーと混同してるのか。区別のつかぬお店も有りますから、佳く分からんよおになってます。
其の替わり、パンも豆腐も出来たてのホヤホヤです。全部、私共子供のお使いで往かされておりました。ナカでも豆腐は苦労した。壊さぬよおに、落とさぬよおに。パックと違うからや。
漫画は買うことは無かったのです。油小路を松原通りに往く途中に貸本屋が有ったがな。一泊二日で十円でした。お小遣いが少ないものでして、中学二年で卒業してしもた。
今時、幼稚園児からゲーム狂いとなりまして、文字が読めると漫画。そのまま成長しました子持ちの佳い歳したオッサンが漫画本に夢中やで。
ゆとり教育で益々ゲーム三昧と漫画の時間が増えて国民皆近視になりますぞ。私は老眼気味であります。
イヤまあ、そんなことはどおでも佳い。コンビニの週刊誌に漫画のコーナーには必ずや大人の一人や二人が立ち読みしています。
煙草屋さんの看板婆さんも自動販売機で消えてしもたし、コンビニの店員さんはアルバイトやし、顔馴染みになりよおが無い。其のコンビニに私が初めて入ったのは、出張先での食料調達でやむ得ずでして、十年前になる。
値段はチと高いのですが、コンビニだけにドンドン便利になりまして、此の先何処まで便利になるのかと心配してる。
演劇の如く、夫婦喧嘩のご支援、代行、代弁までしてくれるのかいな。
お断りしておきますが、嫁はんと足で蹴り合いしたり、張り手の練習とか、茶碗が頭のウエを通過して、出刃包丁が四方八方に飛び交い、罵声八万発の罵り合いで、危や救急車、警察、裁判沙汰になったことは無い。
チョッとした冷戦なら時たまは有る。
(02/05/09)


316.コンビニ・ダンス・ストア(26) 夫婦の会話

出演者は出番の最初に自己紹介してる筈です。
コンビニの亭主に其の嫁はん。誰かの本妻、愛人。カレー屋にそば屋とうどん屋にパン屋に米屋等々。めざせ塾にゆとり塾からオカマまで。役柄に寄っては大きな名札をしてました。
本妻、愛人が登場してるのですから、何処かのご主人様が浮気でもしてたのかいな。浮気をするにも或る意味勇気が要りますで。お金も要るし、時間もなあ。
勇気、お金、時間が無くとも無節操、無理性で兎角マメな性格であればヤルとは思うけど、私には勇気とお金は無いし、生来の面倒臭がり屋でマメには程遠く、そんなことで気を使うこと自体が邪魔臭い。
そもそも、外出するのが珍しいのやワイ。土日に出掛けても本屋さんくらいなもんや。一時間も有れば帰ります。捜す本が見つからなければ京都まで。そしたら半日潰れてしまう。最近は気が長くなりまして、近くの本屋に取り寄せクレですませてしまう。
とりあえず、浮気の機会も気も気配もないけれど、有ったとしても節操と理性が勝つため、浮気に無縁でどんな具合に揉めて、論戦展開したのかさえ記憶なし。配役からして、タブン、有ったのやろと思てるだけ。
塾屋さんが出てましたからお子さんの教育問題も有ったかも分かりません。関心有れど、佳く覚えてないから異議異論ナシと同意したのやろ。
オカマはオカマですから男性が扮してまして、如何にも女性らしき所作まで真似されまして、体型はポッチャリ、コロコロの小太りと、ギスギス、ガリガリのお二人方。
自己紹介でオカマと名乗られた筈ですが、正直云うて聞いてなかった。
見るからにベタベタのお化粧と派手々々スケスケのお衣装やで。演劇であるとは云え、中年であっても仮にも女性がそんな格好する筈が無い。
失礼乍ら女性にしては汚いなあと思てましたら、観客席におみ足を出され、臑毛が見えてねえ。中年ともなれば、発せられるお声と外観だけでは区別がつかんこともある。男女双方が対局に接近してしまうのか。其れでなくとも当世、お若い連中でも区分出来んことがある。
そお云えば、YO子さん扮する処のライザも自己紹介したのでしょおが、ライザがナニ者かも覚えてない。イヤ、女性であることは分かってます。
一番感心したのは、長老・女大学さん。途中から論戦を取り仕切るのですが、長老とは勿論演劇での役名ですが、役名そのまま長老で、お歳もそれなりの推定七十歳そこそこ。
演劇には一連の流れがありますから、多少なら発する文言が異なろおとも誤魔化しも利くのでしょおが、違ってばかりでは周囲が困る。
お歳にも関わらず、主人公の中年ご夫婦に負けず劣らずの表情たっぷりの名演技と長い長い何回もの台詞を佳くぞ覚えてられますから、余程演劇が好きなのと、経験豊富で体力と頭脳が伴ってます。
いずれにセヨ、私は劣等生故、如何なるお役でも失格です。
さて、演劇は時間の経過と共に進行する。まあ云うたら、夫婦間での日頃の愚痴の零し合いですが、気になったのは夫婦での会話が少ないのやて。
其れを云われるのが一番辛い。自分では喋ってるつもりでも、マダマダ足らんのですて。
そもそも、家に居てましてもパソコンをやってるか、テレビを見てるか、本を読んでるか。
プラモデルを造る趣味ナシ。ハイキングや登山もやらず。花に絵も写真にも、盆栽にも関心ナシ。夜行性動物でもありませんし、女装趣味もナシ。プロ野球は好きですがテレビ観戦するだけで、球場にまで足を運ぶ気は毛頭ナシ。犬猫は大好きですが飼ってない。息子共は長男は就職で峰山やし、五月の連休で帰って来ても家には居てないし、二男は時たましか相手してくれず。娘でも居れば無理矢理連れ廻すやも知れませんが元々居てないし。
サテ果て、嫁はんがナニか云うても、フンフンだけの生返事らしい。あとで確認したらそんなことナンにも聞いてないと答えるのやて。
遂さっき、云うた処やのにと叱られてばかり。聞いてないと反論しても、下手したら証人が居てます故、弁明の余地なし。
私はどちらかと申しますと、ナニかをやり出すと止まりませんし、完全集中没頭埋没で、周囲のことには無関心になる。と云い訳して。
家での会話と云えば、朝起きてのおはよおさん。
家を出るときの往って来るしな。
帰って来たら、唯今で、夕食喰ってのご馳走さん。そおそお、其の前の戴きます。
間にお茶クレ。ご飯をモオ一杯。お茶は出てますし、小食故、ご飯も一膳ですからマズ請求セズ。
此れだけでは無いけれど、大凡、倍か三倍か四倍かが一日の会話。常日頃より重々承知してますだけに、グサリ、グサグサと、かなり耳の痛い話です。
されどです。愚痴られてるのは何処でも一緒なんかと安心したり、四六時中ベラベラ喋りっぱなしの男も異常やで。
(02/05/10)


317.コンビニ・ダンス・ストア(27) ニューヨーク公演

見つけてるのか、見つけてないのか。
頭にド派手な飾りを付けた舞台のライザ役YO子さんが最前列から三番目のド真ん中にズラリと陣取る郁文中学三年二組同窓生御一行様の所在が確認出来てるのかどおかは分かりません。
ライザのYO子さんは演劇に集中してまして、此方を見る気配無く、余所様の熱演中も細かな演技をしてました。
熱弁に同意して、ウンウンと大きく頷いたり、イヤ、違うやろと首を横に振ったり、指指したり。何故かは忘れましたが、オッサンが卒倒したから、シッカリせよと抱きかかえたり。出番以外でもナニかとやってましたで。
ヘンな話ですが、素顔では恥ずかしかっても、派手々々衣装に厚化粧でもすれば却って別人感覚になるのではないか。いっそのこと、ヌイグルミでスッポリ身を包めば怖い物ナシやろか。
そんな意味からなら、男はオカマの二人を除けば素顔です。其れとは無関係ですが、男の平均年齢はヤヤ高め。
ヌイグルミでも演技をしたり台詞があれば覚えるだけでも大変。素人集団がこれだけのことをするに至るには生半可な気持ちや練習量ではないのやろ。
さて、コンビニ・ダンス・ストアの中身です。
「オイ、オマエ。
其れを取ってクレ。アレを持って来てクレ。貴方は私の名前さえ呼んでクレません。」
物語の発端となった結婚披露宴帰りの奥様がご主人にこのよおなことを申されてまして、演劇の終盤部分の台詞でありますが、無事閉幕で、拍手喝采。
上演予定時間の一時間四十分も時間の経つのが早いこと。
生演劇には慣れてませんので、オシマイやなあ。さあ、席を立ちましょかと思てるのに、拍手は鳴り止まず、もしかして、カーテン・コールをするのかい。
イヨイヨ、拍手が大きくなりまして、やるのやなあと拍手に参加してましたら、再び開幕。
舞台では最初にやってたダンスが始まって、YO子さんも居てましたがスグにも終了で、ホントの閉幕と相成りましたから、退席です。
されど、中央故、通路側が出てくれなければ出るのが難しいし、ホンの僅かな時間ですから、焦ることも無い。待つチョッとの間に、YASU子さんがこんなことを聞く。
「柴田さん処は、奥さんをナンと呼んだはるのえ。」
演劇の続編が此方に廻って来るとは思いもしなんだ。イヤ、正直に返答してます。
私の母と嫁はんとの名前は子の一文字が有るかないかの差だけでして。呼び辛いことも有りまして、一度も名前で呼んだことが無い。
「ふうん、そおなんか。」
其方はどおなんやと聞いてやろかと思たのに、通路側が空いてしもて移動やて。
ホールから出まして、出口に向かう階段を降りてましたら、
「誰其れさん。
いやあ、オオキニ。見に来てくれやはって、オオキニ、オオキニえ。」
誰其れさんが誰のことか覚えてませんが、私でないことは確かです。振り向けば、YO子さんが人をかき分け飛んで来た。
「いやあ、YO子さんやないの。見たえ。よかったえ。頑張ったなあ。」
間違いナク、ライザ役のYO子さんです。頭に大きな飾りが無いだけ。
ホールから出る人、帰る人。演者を見つけて、見つけられ、佳かった佳かったとやってる人等で狭いホール前は幾つかの小集団の歓声と笑い声が入り乱れ。
とりあえず、久しぶりにYO子さんを間近にご拝見しまして、数年マエと替わらんなあ。されど、出る幕が無いから女性は女性同士で喋ってクレ。と思いつつ、出番を思い出したのです。
「ニューヨークにも往くのやなあ。」
「ナンで知ってるのえ。」
と、ご当人様がビックリしたけど、チケットを送ってくれたときにコンビニ・ダンス・ストアのパンフレットが同封されてまして、発起塾のURLが記載されてたから、探索しただけ。其処にニューヨーク公演のことがあって、参加希望者にYO子さんの名前も出てた。
「発起塾のホーム・ページに載ってたで。」
「どおですか。柴田さんもやらへんか。」
演劇をやらへんかとのことやけど、イランことを云う。私は小心者。そんな柄でも無いのです。舞台に上がった自分を連想するだけでも悲惨な光景。
イヤイヤ、とんでも無いと、返事する間もナク、何処からかYO子さんにお声が掛かりまして、又なと一言残し、其方の方え飛んでった。お忙しいことであります。
「あの子がお子さんえ。」
YASU子さんが促す方を見遣れば、階段のウエに体格のガッチリした青年が居てまして、ナルホド、お母さんの面影を彷彿させるものがありました。
(02/05/12)


318.コンビニ・ダンス・ストア(28) 大山に登る

大学一回生の時、YO子さんとは二泊三日の旅をした。
一泊は夜行列車での車中泊等々、諸々の初体験をした。
とか云うて、冗談ではナク、ホントのことであります。同宿もして、大山に登ったのであります。
但し、二人ではなく三人で、も一人はMASA君。私はMASA君から強引に誘われた。残り一泊は国民宿舎。大山も国民宿舎も初体験で、其の一回だけ。
MASA君の処に往きましたら、イキナリ、大山に登ろやて。登らへんかでは無いのです。
私でも大山とは日本を代表する有名な山であることは知ってます。丘や小山、例えば、双ケ丘に船岡山に衣笠山、大文字山に小倉山や愛宕山では無いのです。
そもそも、登山なることをしたことなかった。高い山と云えば、小学生時代、家族で登った比叡山はありますが、弁当持参、運動靴でケーブル・カーの下の道を辿ってです。
山歩きが趣味のMASA君やあるまいに、登山の装備を持ってない。マサカ、運動靴で大山はアカンやろな。それにです、MASA君が私を山に誘たのは此れ一回だけ。私が山に趣味が無いのを知ってるクセにです。
イヤイヤ、登山靴なら貸してやる。文数は幾らや。十文三分。佳かった、佳かった、同じ文数やから丁度佳い。
MASA君とは背格好同じくらい故、靴も合うとは思てましたが、靴だけ有っても其れ以外の道具が無いし、重い荷物を背負いまして、登山はしたこと無いしなあ。
何にも要らんで。手ぶらで佳いで。
そんなこと云われても、登山で手ぶらでは格好もつかん。
リュックくらい貸してやるがな。そやけど、リュックを借りて、ナカにはナニを入れるのや。
下着に着替えとかや。ハンカチ、鼻紙、タオルとか。出来ればチョッとしたお八つやなあ。
そおそお、水筒にお茶くらい。交通費は当然やけど、お金もな。その他、適当に持って来たら佳いのやで。
と云われましても、修学旅行以外で宿泊を伴う遠い処に往ったのは、高校一年での大峯山。伯父と一緒でしたし、其れ以外では親戚くらいでしか宿泊したことも無い。
兎に角、来てくれと強引に誘われましても学生の身分。時間は有っても軍資金がねえ。オソラクはアルバイトで調達したのやろ。
承諾してから聞いたのが、YO子さんも往くからな。
早い話が目的登山で夜行列車と国民宿舎泊。とは云えど、お年頃の男女二人だけで二泊三日の旅するのは不味い。要らぬ噂が大山の如く立ちそびえても困ります。
柴田君なら人畜無害、学生で暇やろしと、其処までは云われてませんが、同行させられた。
中学二年の修学旅行は専用列車の希望号。行き先は東京。座席には板を渡してベッドとしまして、雑魚寝で寝られんかった。東京タワーには其の時一回だけ展望台に上がったなあ。
此の時の米子往き夜行列車は三段ベッドのため寝付かれませんでしたが、朝になれば米子に到着。そのまま登山で、下山すれば国民宿舎で、又三段ベッド。やったかなあ。
夜行列車でも国民宿舎でも、MASA君が下段で、YO子さんは上段。残りの中段が私です。寝相が悪い故、心配で心配で。現在でも私は畳の上で布団のナカ。
揺り籠みたいな不安定な場所で寝るのは性には合わん。加えて、細かな計画も聞いてない。聞いても分かりませんので、単に付いて往くだけの人でありました。
国民宿舎から出ましたら、倉敷に往くのやて。YO子さんの切なる希望とのことでして。倉敷は正直云うて、佳かったです。
倉敷だけに倉屋敷界隈を歩き、落ち着いた佇まいは鮮明に覚えてる。大山はシンドかっただけしか記憶にナシ。下界の光景も覚えて無い。荷物は一番少ないクセしてなあ。
そんなことで、初体験尽くしの大山から何年が経つのか。三十七年か。
そんなことは佳いのです。観劇のアトで身分不相応にも三人もの美女とお茶でもしよかとなってます。此処に至って、ホナ、サイナラと、逃亡するのも何ですから、私の車で往きましょか。
そしたら、もお一辺、BRIGHTON・HOTELにしよか。彼処やったらやってるやろし。
其れは佳いなあと返事だけして、KAZU恵さんとKYO子さんは話に夢中。委細構わず断固たる確信を持っての如くサッサ、サッサと力強い歩調で表のホウに突き進む。
オイオイ、何処に往くのやな。車はコッチやコッチ。其方は反対方向や。
京都府立文化芸術会館の駐車場は裏手にあります。
(02/05/13)


319.コンビニ・ダンス・ストア(29) タヌキの話

お食事とお茶で二度目のBRIGHTON・HOTEL。時刻は八時過ぎ。
お席も丁度佳い具合に空いてます。適当にお飲み物とケーキをご注文。
既にミニ・ミニ同窓会は始まってますが、私はとある視線を感じてました。実在もせぬ妖し気の視線ではないのです。振り袖姿のお嬢様からで、我が同窓生御一行様にヤヤ遅れ、お嬢様を含む一団が横手に陣取りました。
当日は先負。大安吉日でもないのに振り袖姿のお嬢様。お嬢様にしてはチと老け気味でしたが、振り袖ですからお嬢様であります。
大安吉日に拘らなければイツでも佳いのです。結婚式の披露宴が有ったのか。時刻が時刻だけに、新郎新婦のお見送りの待ち時間かなあ。
披露宴でなくともお茶やお花でもお嬢様は振り袖を着るけれど、お嬢様以外は男性やでと、余計なことまで考えまして。
それだけなら佳いのですが、お嬢様がやたらに此方を見てくれる。私がお釣り合いの若き美男子ならさもありなん。
鼻高になるのですが、此の歳で此の風貌で此の背丈。背丈だけは座ってますのでバレませんが、ナニよりも三方を美女に囲まれてるのに、凝視してくれるのです。
果たして、ケーキのクリームが口の端にでもくっついてるのかと探ってみたり、口ではなくて頬かなあ。それとも低き鼻先かと触ってみたり。或いは服が汚れてるのかと確認したり。
ではありますが、皎々と明るい照明でもナク薄明かりです。彼方様から分かる程の灯りではない。目立つ処にケーキのクリームがくっついてればご同伴の面々が教えてくれます。
お嬢様のお顔に見覚えは無い。老け顔ではありますが、目元、口元、体型には愛嬌があります。さりとて、此方を向くな。彼方を向けとも云えません。一度気になり出すと気になってしょうがないのですが、彼方様もそおなんかなあ。
そんなことは佳いのです。彼方此方に話は飛んでますが、出だしは同窓生のことが主題。
流石に頭脳明晰なるKYO子さんは名前を佳く覚えてるのです。聞いてても誰やったかなあと想いを巡らしますが、咄嗟には想い出さんのです。
「メダカ会で広さんが同じ席やって。東大を出やはって難しい研究をしたはるみたいえ。同じ三年二組の広さんや。」
そもそもメダカ会とはナニかいな。広君とはどんな奴であったのか。東大をねえ。そんな賢い奴が同じ組に居たのかと思案を巡らしてましたら、YASU子さんが、
「タヌキや狸。居たはったやろ。」
「アア、タヌキねえ。想い出した。あの狸がそんなに賢かったかなあ。」
「東大え。」
「広さんは堀川高校やったけど、二年のときに西京に替わらはったんや。」
商業課程は二年のときに西京高校に統合されたのです。渾名のタヌキで想い出せたのですが、中学時代の彼が勉強が佳く出来たかとなれば、分からんなあ。
時折ブツクサと意味不明のことを呟いて、異次元に生息する宇宙人に思えたり。英語はペラペラで数学も出来た感はしてました。かと云うて、東大に合格する程の秀才の感はなかったで。云うたら悪いけど、奇人変人の気配濃厚で、奇人変人故東大も有り得るのか。
此れは一部当たってるのです。頭の賢い奴は何処かに奇人変人的要素を持ってます。其の点、私は平凡人。
順当ならば、進学希望者は普通課程です。何で商業課程を選択したのかの事情は知らん。此処にも奇人変人の一端もありますが、中学三年二組同窓生に東大、京大、阪大に合格の奴が居たことになる。イヤ、当時の公立高校では珍しくもないのです。一々数えてませんが、知ってる範囲だけでも京大が十名は居た。噂では二十名を軽く突破です。
ところで、メダカ会とは郁文中学の合同同窓会のことらしい。私も聞いたことのあるよおな、無いよおな。参加をしたことは無いので佳く知らん。
タヌキは分かったのですが、メダカ会ではKYO子さんと同席でホカにもエライ人が居てまして、名前も云うてましたが、忘れてしもた。
「広さんから名刺も貰たんえ。」
タヌキの名刺ねえ。私には渡す名刺がない。
ところで、タヌキは老け顔でした。中学生のクセして髭が濃く、高校生か大学生に間違われるくらいの風貌あたかもオッサン顔。実年齢よりも遙かに上に見えてたで。
所謂タヌキですから、目元、口元、体型には愛嬌があり、KYO子さんが戴いたタヌキの名刺も是非共拝見したい。素地は木の葉で肩書きが一杯やろ。喋り出すと雄弁で、煙には巻かれ、自慢話が多かった。
老け顔のタヌキのことが話題の真っ最中にも視線を感じてたのです。
横手に陣取る振り袖姿のお嬢様。そお云えばと、チラリと目をやれば、ヤッパリ此方を見てました。目と目で見つめ合えば、お嬢様の目元、口元、其の体型には愛嬌がありまして、まさか、タヌキの。
此処から先の文言は各自ご勝手に創作されたし。私はナンにも云うてない。
(02/05/14)


320.コンビニ・ダンス・ストア(30) 京都・言葉と習慣(1)

横手に振り袖姿のお嬢様を含む一団が陣取られてたのは事実であります。
愛嬌のある目元、口元、体型もそのとおり。タヌキの話題が出たのもホント。目と目が合いましたし、虚偽の証言など一切してません。
結婚披露宴なら取り囲む男性諸君のネクタイを確認すれば済みますが、間には鉢植え等々目隠しがありますし、覗き込んでの失礼なことは出来ません。
お茶、お花、其れ以外にもBRIGHTON・HOTELの関係者かも分かりませんが、話題がタヌキだけに正体不明なまま、我が同窓生一同が席を立つまでには消え去った。
話題は転々としまして、適当と云えばナンですが、ウンウンそおやなあと相槌打って、聞いてるフリだけしてましたら、KAZU恵さんが、
「なあ、柴田さん。男の人て、ケって云わはらへんか。」
ナニナニ、突然にお鉢が廻ると困るのです。甘党とは云え、予想以上に甘いケーキを喰うのに四苦八苦したのに。短い鼻先にクリームをくっつけてもアカンしなあ。
「男の人はナンとかケって、使わはることがあるみたいやけど、どんな時に使わはるのんえ。」
「ケ」ねえ。「ケ」ですか。「ケ」がどんな時にねえ。
如何なる経過で、「ケ」が出て来たのか。佳い加減にしか聞いてないので分からねど、改めて問われると困るのですが、そお云えば最近は使える場面に出喰わさんし、私が使われたこともない。
イヤ、そんなこともない。実君が時々使いよる。
「ケ」とは、「ナンとかですか」の「ですか」に該当する、チと下品な関西弁で且つ男言葉。多少の慌て者のケがあるとは云え、お上品な女性のKAZU恵さんが尋ねるのも無理からぬこと。
チと脱線致しますが、関西弁と京都弁とは微妙に異なるのです。大阪弁が関西弁を代表してますが、大阪と京都とは隣同志であっても、此れ又微妙に異なりまして。何処が異なるかと云えば云い廻しと抑揚であります。
追加で説明すれば、亀岡も京都ではありますが、言葉の端々が微妙に異なる。何処がと問われたら解説困難ですが、感覚的に表現すれば引っ掛かってしもて、すんなり耳を通過してくれません。
さて、「ケ」のことですが、男言葉でありますので、女性が使うと極めて下品なことになりまして、称する処のお里がバレてしまいます。
「ケ」がお上品でないとは云え、親密度の高い間柄では違和感のない表現で、実君は中学時代からの親友故、使われた私に違和感は無いのですが、目上には使うべきでは無い。
私が産まれ育った町内にそのまま居てれば、幼馴染みが沢山居ますので使うやも知れませんが、目上でなくとも見知らぬ人にまで多発乱用は避けたホウが宜しい。
私は親しい間柄でも使たことはないのですが、お上品な産まれや育ちとは思てません。
実君は「ケ」を佳く使い、多発乱用の気配濃厚ですが実君のお人柄でもあります。くれぐれも下品とは申してません。
反対に極親しい間柄で、「ナンとかですか。」では水臭い。
久しぶりの度合いにも寄りますが、佳く遊んだ仲間から、「元気にやってるケ。」と声掛けられたら親密感も蘇る。
其処で想い出したのが、河内のオッサンの唄。長過ぎるので一部のみ紹介すれば、
「やんケやんケやんケやんケそやんケ、ワレ
ワレワレワレ、そやんケ
やんケやんケやんケやんケそやんケ、ワレ
ワレワレワレ、そやんケ
河内のおっさんの唄
河内のおっさんの唄」
河内ですから、下品が売り物、下品も自慢のウチ。
誤解ナキよおに云うてオク。「ケ」と「ワレ」が乱発されてるから、「ケ」も「ワレ」も河内弁かと云えば、「ワレ」だけやろ。「ワレ」は自分のことでは無い。オマエと云う意味や。
河内は大阪ですが、大阪人全てが「ワレ」とは云わんけど、「ケ」は私とホボ同様の感覚で使うやろ。よって、広く関西弁としてるのです。
「ワレ」は喧嘩口論なら効果満点なれど、其れを嫌うのが京都弁。
(02/05/15)



inserted by FC2 system