ISO 9000シリーズの解説


目次

1.ISOて、何のことや

2.ISO、その種類

3.ISO、その精神と概要


1.ISOて、何のことや

ISOゆうたかて、無関係の人やったら、さっぱり分からへんなあ。
これから、気儘な調子で、「M社のISO物語」を掲載するつもりやけど、ISOて、何のことか知らん人やたら、何をゆうてんのか分からへんやろうし、少しづつ、説明するわ。
こんなん、ちょっと大きめの本屋さんやったら、その関係の本を、ようけ並べたはるわ。大抵、同(おんな)じような内容やけど。
興味を持たはった入門者向けに、概念だけを解説したようなんから、実務者向けに、ちょっと詳しい内容のもんまでイロイロや。私は、たまたま、去年、その概念の奴を買(こ)おたけど、イヨイヨやるみたいなことになったら、そんなんではどうしょうもないさかいに、実務者向けのんを買(こ)おたんや。結論からゆうたら、それも、あんまりやなあ。イザ、実際に、それを読んでも、まあ、参考程度や。
そんなことは、ここでは、どうでもエエなあ。
「ISO」そのものは、International Organization for Standardization の略称や。日本語に訳したら、「国際標準化機構」ていう意味になる。
そのISOを「アイ.エス.オー」て呼ぶ人もあるし、ローマ字読みにして、「イソ」てゆう人もある。
どっちが正しいのか、知らん。どっちでもエエんやろ。相手に分かったら。
ただ、一時、イソネジとかゆうて、工作とかに使うネジの種類で、そんなんがあったけど、そのイソや。言葉を加えたら、イソ規格に合致したネジや。(そしたら、イソてゆうのんが正しいんか。私はアイ.エス.オーてゆうてるけどなあ。あんまり、こんなこと、深刻に考えんとこ。)
規格てゆうのは、自分だけが一回限りで使うんやったら、どうでもエエけど、この、ネジみたいなもん、大量生産で造るし、そしたら、メーカーによって、ネジの色んなとこの寸法がバラバラやったら、使う方が困るわなあ。
せっかく家で修繕とかしよて、ネジ買(こ)おて、やろてしたら、ン、寸法がチガウデ。そんなことになるんや。
そやから、こんなもんでも、国際的な標準のもんやったら、どこの国からの輸入品でも共通に使える訳や。逆に、輸出しても、その先で、修繕するときも、ン、てならんでも済むんや。
とりあえず、日本やったら、JISやなあ。JIS(日本工業規格)認定工場やとかゆうて、流行った時期があった。このJISはその名前のとおり、日本国内の(工業品の)規格やし、イギリスやったら、BISやし、ドイツにはDINてゆうのがある。
そんなんやったら、最初から統合さしたらエエのになあ。まあ、そこには、各国のプライドもあるやろうし、日本でも、そのISOをそっくりそのままJISに組み入れたりしてるんやで。
別の言い方したら、ISOには沢山の国が参加してて、特に、欧米が主体や。それが、各国に波及してきたんや。
ISOは「国際」て付いてるのやから、国際的なもんや。そやから、その国だけで勝負(商売)するんやったら、その国の規格(日本やったらJIS)さえ守ってたらエエのやけど、日本みたいなもんは、輸出立国やし、特に、エレクトロニクス関係やとか、自動車やとか、こんなんは、もう、とっくの昔から、世界を相手に競争してる。そしたら、そうゆう国際規格を無視出来ひんのや。
無視したらどうなるんかて、そら、例えばの話しやけど、昔やったら、賞味期限みたいなもん、表示してへんかっても、買(こ)おて、食べたやろ。
ところが、そうゆうのんが決まりになって、どっかが表示付けてたら、そっちを買うわなあ。いくら私とこは有名やし、そんなんせんでも、お客さん、信用してくれやはるわて頑張っても、そんな有名なメーカーみたいなもん、腐るほどあるわいな。
そやから、無視するのは勝手やけど、結局、お客さんはそういうとこ(賞味期限が表示してるとこ)の品物(しなもん)から選ぶようになるわなあ。
結局、それやらんとしょうがないんや。しょうがないてゆうより、相手にしてもらえんようになるんや。(そんなん気にもせえへん人だけを相手にするんやったら、かまへんけど)
そういうのんを、最初は大きいとこがやったんやけど、段々、それが中小企業に波及してきたんや。さっきの理屈で、昔やったら、兎に角、造ってくれたらそれでよかったんやけど、こういう不況のご時勢になってきたさかいに、尚更、大きいとこが小さいとこに仕事を頼むときも、そら、そういう国際的なもんを分かってる所(とこ)と取引する方がエエてゆうか、マダ安心できるわ。
逆に、取ってへんかったら、相手にしてくれへんようになってきたんや。そやからゆうて、取ったさかいに、取引してくれるかて、そんな甘いもんとは違う。
そんなんが普及したら、取ってて当たり前だけのことや。つまり、最低必要条件であって、十分条件とは違うようになってきたんや。


2.ISO、その種類

これから、M社で、やろうてしてる、ISOは、1987年に初版が制定された、9000シリーズてゆうもんや。(「シリーズ」て、ゆうんやから、9001とか、9002とか、9003とかがアル。)
改正があったさかいに、現在は、ISO 9000−1;1994(1994年に改正されたてゆう意味)て、いうんや。(又、近々、改正しやはるみたいやけど)
その9000シリーズの他で、今、話題のもんは、何てゆうても、14000シルーズや。
どう話題かて、これが、環境問題(大気汚染.水質汚濁.土壌汚染.産業廃棄物.オゾン層破壊、その他で、騒音やとか、悪臭やとか、兎に角、そうゆうもんがテーマなんや)に、企業が取り組むてゆうことで、CMとかでも、「地球に優しい」とか、やったはるけど、それや。
企業がそんなん、本気で、お金、掛けて、やるんかいなあて、それが素朴な疑問やけど、そんな、公害問題を垂れ流すみたいな会社が側にあったら、出ていけてゆわれるやろな。
そうならんとアカンのや。日本はマダマダ、甘過ぎるわ。何でも、ウニャムニャや。
もう、一般の人も充分、色んな知識あるし、以前みたいなことやってたら、こんなん、相手にされんようになってしまうやろう。
そういうこともあるし、省資源化で、コストダウン(過剰包装を止めるとか)も考えたらエエし、今やったら、こういうこともやってるゆうたら、企業のイネージアップの宣伝にもなるし、ていうことやけど、これ、海外の方が進んでて、国によったら、そういうことを配慮してへん企業がそこで工場やら、造ろてしても、許可してもらえへんことがあるらしいし、逆に、こういうことにも取り組んでます、ゆうたら、相手が安心してくれるやろ。そういう、メリットがあるんや。
日本でもそうやで、そんな認識の甘い会社はアカン。
そのISOの14000シリーズ(これも、「シリーズ」てゆう表現してるのやから、その14000てゆうのは、その総称や。)
で、ISOは、その主体が欧米やゆうたけど、本部は、スイスのジュネーブにあるらしい。
その、ISO規格の9000シリーズをやるだけのことで、その期間は異常に早(はよ)おて、1年。普通やったら、1年半〜2年くらいかかるんや。それも、何人かがヨッテ、タカッテのことや。
もっとも、普通は、通常の業務もしながら、これ、やらんとアカンのやし、大変やと思うわ。
そこで、ISO9000番シリーズなんやけど、9000番そのものは概念やさかいに、ここでは省略する。
ISO9001は簡単には、顧客(市場)からの要求のもんがナイときやったら、設計.開発から始まって、試作して、評価して、そして、ようやく、製造して、出荷するみたいな、そういう一連のことをやる所(とこ)が目指すんや。
いわば、本社みたいなとこやなあ。本社やったら、設計.開発しても、工場が他にあって、そこの本社では、製造みたいなもんせえへんとこがあるけど、そういうときは、工場に製造指示するわなあ。(そういうのを本社機能てゆうんや)
こういう具合に、ISOは、その会社単位とか、組織単位でやるんや。組織単位、ゆうても、さっきの一連のことをやる組織やで。
次がISO9002で、これは、設計はせんと、製造だけの所(とこ)や。工場とかやなあ。
その次がISO9003で、これは、設計も製造もしやへん所(とこ)や。どんなんが、これに該当するんかゆうたら、クリーニング屋さんとか、コンビニとか、タクシー会社とか、何かの代行業者かなあ。
これも、そのシステムを開発するような本部やったら、9001になるんやろか。
コンビニでも、ちょっとしたとこやったら、魚をさばいたり、そこで、加工したり、したはることもあるし、そういうとこやったら、9002になるんやろか。
本部でも、開発する気もない、そんな部署もないような、本部やったら、9003かなあ。
別に9003がランク下やて、そんなことやないんやで。要するに、サービス業が9003や。
サービス業やったら、その主体は日本やさかいに、ISOの9000みたいなもん、特には関係ナイみたいやけど、そうやないで、結構やったはる。やっぱり、生存競争の時代や。
そういう区分があるさかいに、M社やったら、設計.開発はせんと、製造(加工)してはるさかいに、9002を目指すことになるんや。
で、そこが、9000番シリーズの何を取ってるか、あるいは、取ろおてしてるかで、そこの業務形態が、本社みたいなとこか、工場なんか、サービス業かが分かるんや。
さて、目指すのは勝手やけど、どないするんかゆうたら、それが問題や。
これは、「審査登録機関」てゆうのがあって、そこに審査して欲しいゆうて、申請するんや。
まさか、これの本部がジュネーブやさかいにゆうて、ジュネーブの本部に申し込んで、外人さんに来てもらう訳にはいかへんわなあ。
それで、日本には、JAB(日本適合性認定協会)というのがあって、そこが日本でただ1ツの「審査登録機関」の「認定機関」なんや。
ややこしいことやけど、そのJABが直接やってくれるのと違て、そこから、お墨付きをもろたとこが、審査することが出来るんや。
その審査をしてもろて、合格したら、OKや。(認定証みたいなもんをもらえるんやろか)
それを、「審査登録制度」てゆうんや。
それで、何を審査してもらうんかゆうたら、9002なら9002で決められたことを、ちゃんと決めて、やってるかどうかや。その審査で合格したら、ISO9002とかを認定してもらえるんや。(審査してもろた方は「取得」や)
結局、それを実際にやってへんかったら、審査しえくれてゆうても、アカンのや。
そしたら、それ(9002)て、何(なん)や。
ここからの説明は、簡単(本を読んでくれてゆうわけにいかへんし)には難しい。ちょっと、考えさしてんか。


3.ISO、その精神と概要

それで、ISO9000シリーズのことやけど、基本的には、そこの経営者が本気でやるんやて、決心した段階からスタートや。
そういうこと(経営者の決意)を、このISOは一番きつう、求めてるんや。
例えば、何かを作ってる会社で、「品質や、品質第一や」て、ゆうてても、口先ばっかりで、実状はその逆をやるような経営者が居てるわなあ。
それと、脱線するけど、金融機関でも、不良債権が、問題になってるけど、こんなんは、経営者がそれを追求する気がアラヘンていうことなんや。もっとゆうたら、融資するときの、「責任」も、「権限」も、曖昧で、基準もアラヘンていうことなんや。
もっと、もっと、ゆうたら、それを追求する、国(政治家.官僚)も、そのTOP(「経営者」とは違うしなあ)が口先だけで、やる気がアラヘンさかいに、いつまでたってもワカラヘンのや。
そやから、ISOでは、まず、会社(組織)の経営者が、そういう決意の意志表示をして、そのために、組織はこんななってるし、「責任」も「権限」も、こんな具合になってるし、品質問題とかがあっても、こんなシステムで対応するし、安心して下さい。
て、そんな感じなんや。
イヤ、それだけではアカン。それを、全て、文章にして、記録も全て残しなさい。勿論、記録を残せ、ゆうても、永遠に残してたら、記録だらけになって、どうしょうもあらへんし、10年とか、20年とか、永遠(会社の存続する限りてゆうことやけど)とか、それは、その物によって、好きなように決めて、処分したらエエのやで。
そして、文書で、決められたことを、決められたとおり、やってるかどうかを、「審査登録機関」が、1年に1回とか、2回とか(それは、その機関によって違うんや)、監査することになってるんや。そのうえ、社内でも年に何回か決めて、内部監査することになってるし、そんなんも、皆(みんな)記録して、残さんとアカンのや。
又、金融機関を引き合いに出すけど、金融機関やったら、お金を融資することやとか、預金してもらうことが主業務やし、その融資にも基準があるはずやし、誰がどの範囲で貸せるんか、「責任」も「権限」も明確なはずやし、それで、問題(焦げ付きとか)があったら、どう対処するのか、決まってるはずやなあ。そやなかったら、あんな大きな組織で、エエ給料で、長いことやってられへんで。そんな記録も、お金の、貸し借りのことやし、きっちりやってる筈やで。ただ、経営者が、不良債権問題を明確にして、公(おおやけ)にする意志がナイだけのことや。そう、思うやろ。
まあ、あんまり、そんなことばっかり、引き合いに出すのも、アレやし、そういうことも踏まえて、そういう所(とこ)にISOを導入したらエエナアて、そう感じてもらえたら、この説明は成功や。
兎に角、そうゆうことで、ISO 9000は経営者のヤルんやという、断固たる決心の意志表示があって、そのためには、どういう組織で、何をどうするんや、それでも、問題が起こるやろうし、そのときは、どないするんや。
こうする、アアスルてそんなん、口でゆうててもアカン。キッチリ、文章にして、全社員に徹底しなさい。そういうことや。
そうはゆうても、全部の文章を全社員にてゆうても、何やし、最低限、経営者(社長)の方針は、徹底しなさい。で、どんな方法で、徹底するんや。
そんなことまで、要求してるんや。そら、きめこまかいで。
それで、製造関係の品質管理やったら、大抵、製造手順とかは、全部、文章で決めてる(それを、「標準類」てゆうんやけど)し、それがなかったら、物を作れへんわなあ。
1人で全部やるんやったら、必要ナイけど、複数やったら、言葉(用語てゆうんやけど)も、意志統一しとかんと、お互いに勝手な解釈してしもたら、間違いのもとやし、その標準類に書いとくんや。
もっとゆうたら、その標準類には、工程とかで、どんな様式で、どんな記録をするのか、それで、記録から、おかしいことが分かったら、どうするんか、て、そんなようなことが書いたあるんや。
記録を取るてゆうことは、何かあっても、その記録を調べたら、おかしいことが分かるかも知れへんなあ。つまり、後からでも、おかしいことがなかったかを調査することが出来るようにしとくんや。(これを「トレーシング」てゆうんや)
その会社で、1種類の物(もん)しか作ってへんかったらエエけど、何種類もあったら、その標準類の書きかたもバラバラになるやろうし、それを、こういう風に書きなさいよてゆうようなんもあるんや。これも標準類てゆんやけど、さっきの標準類は「作業標準」てゆう名称で、記録やとかは、単に「記録」や。後のほうのは、もっと、全体的なもんで、それを管理するもんやから、「管理規定」とかゆうてる。
この管理規定にも、沢山、種類があって、「責任.権限規定」「職務分掌規定」「文書管理規定」「購買規定」「設備管理規定」等々、沢山あって、イヤになるくらいや。
マア、その名称を見たら、大体、どいゆうもんか分かるわなあ。
そして、ISOを導入するんやったら、内部で監査もせんとアカンし、「内部監査規定」とかゆうのも作らんとアカンのや。要するに、そういう、「規定」を作って、それに基づいて、やるわけや。
そんなん、大変みたいやけど、そんなんを作っといたら、新入社員でも、それ読んだら、大体のことが分かるようになってるんや。
例えば、マクドナルドみたいなフランチャイズやったら、本部から、そのKnow−Howを書いた、もの凄い、マニュアルをくれやはって、それに、のっとって、お店を運営しやはるみたいやけど、そのマニュアルを、ISOでは、「品質マニュアル」て、ゆうのんや。
この場合(「品質マニュアル」のこと)は、そういう一連の標準類をダイジェスト版にしたみたいなヤツや。そして、そこには、そのISOで要求してる事項(大項目で20もあるんや)を1ツづつ文書で説明せんとアカンのや。
勿論、その会社の内容にもよるさかいに、どれだけのもんをどんな風に作るかは、千差万別やけど。
そら、「食品」を扱おても、マクドナルドと、王将やとか、「さと」では、形態も違うし、同じような部分もあるやろうけど、独自のもんがあるはずやなあ。
会社が違うさかいに、書き方も違うやろうけど、それが、どんなけのページ数で、どんな形式で書いたあるのか見たこともないし、知らんけど、ISOやったら、ほぼ、こうゆう順番で、こういうことを書きなさいてなってるさかいに、そのとおりやっていったら、とんでもないことにはならへんのや。まあ、マクドナルドも、ISOをやってくれはったら、そのマニュアルも「品質マニュアル」てゆう名称になって、ISOを勉強しやはった人やったら、それを見せてもらえたら、概要が分かるんや。そんなもん、企業秘密やし、見せてはくれへんし、「審査」そるとこも、守秘義務があるさかいに、「品質マニュアル」みたいなもん、余所には、公開せえへんけどな。
そして、ここでは、そのISOで要求してる、20の大項目がどんなんかは示さへんけど、そういう具合に、会社の形態を、品質マニュアルの名称で作って、それに基づいて、規定を作って、実際の工程とかで使う標準類なんかも、整備するんや。
勿論、記録の様式もやらんとアカン。
そして、一番、肝心なんは、それをキチンとやることや。作っても、やってへんやったら、審査には通らへん。
これで、一応の説明はオワリ。
それ以外のことは、「M社のISO物語」に、きっと、出てくるはずや。