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雑談<NO.169>

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NO 表題 起稿 起稿日
雑談NO.170
1807 生きづらい若者の逃げ道「市販薬依存」の恐ろしさ(毎日新聞「医療プレミア」、1月12日) 磯津千由紀 19/01/12
1806 客や取引先から過剰なクレーム…広がる「カスタマーハラスメント」(毎日新聞、12月14日) 磯津千由紀 19/01/09
1805 兼高かおるさんが死去 90歳 旅行ジャーナリスト(毎日新聞、1月9日) 磯津千由紀 19/01/09
1804 WEB CARTOP:通なら見逃さない! いいクルマなのになぜか中古で激安な国産車3選(毎日新聞、12月8日) 磯津千由紀 19/01/08
1803 「どろろ」 手塚治虫の名作が50年ぶりテレビアニメ化(毎日新聞、1月6日) 磯津千由紀 19/01/06
1802 高校国語から「文学」消える? “誤解”はなぜ広まったか(毎日新聞、1月4日) 磯津千由紀 19/01/04
雑談NO.168

NO.1802 高校国語から「文学」消える? “誤解”はなぜ広まったか(毎日新聞、1月4日)<起稿 磯津千由紀>(19/01/04)


【磯津(寫眞機廢人)@ThinkPad R61一号機(Win 7)】 2019/01/04 (Fri) 20:10

 こんばんは。


 昨今のコミュニケーション能力不足の人々を見るにつけ“普段使いの日本語”「論理国語」の必要性はよく分かります。
 勿論、「文学」も、疎かにしてはなりませんが。


> 高校国語から文学の灯が消える? 思考力、判断力、表現力の育成を掲げた「新学習指導要領」が2022年度から適用され、選択科目「論理国語」が登場するなど、高校国語科の科目構成ががらりと変わるのを受け、「教科書から『山月記』が消える」「文学作品の代わりに契約書を読ませるらしい」など誤解交じりの臆測が飛び交っている。国語教育はどこへ行こうとしているのか?【統合デジタル取材センター/小国綾子】


> 「山月記」「こころ」が消える?

> きっかけは月刊誌「文芸春秋」11月号。文芸評論家、伊藤氏貴さんがコラム「高校国語から『文学』が消える」で<中島敦「山月記」や漱石「こころ」のような、日本人なら誰でも読んだことがある文学作品が、契約書やグラフの読み取りに取って代わられる>と警鐘を鳴らし、大きな話題となった。

> では、本当に「文学」は消えるのか。

> 文部科学省教育課程課は「誤解」と明言する。「授業から文学作品が消えることはありません」。ではなぜ“誤解”は広まったのか。

> 2月に発表された新学習指導要領改定案によると、国語の必修科目は「言語文化」「現代の国語」の二つになる。前者は古典から近現代までの小説、詩歌を扱うが、後者の「現代の国語」では文学作品は扱わず、論理的、実用的な文章を扱うという。

> また、選択科目は「論理国語」「文学国語」「国語表現」「古典探究」の四つがあるが、履修パターンは学校に任されている。このため大学入試に有利とみられる「論理国語」と「古典探究」の組み合わせを選択し、「文学国語」を選択しない進学校が増えるのでは、という推測がある。


> 教科書や授業から文学が消える、は誤解

> つまり「文学が消える」はさすがに誤解だが、新指導要領に対して、文学者らの間で「文学軽視」「文学を読む時間がさらに減るのでは?」という危惧が広まっているということのようだ。

> 一方、文科省は「すでに現行の学習指導要領でも『読む』ばかりではなく、『読む、書く、聞く・話す』の3領域の力を育むことを目的としており、決して今回の指導要領で大きく変わるわけではない」と念を押す。

> 「文芸春秋」は19年1月号で作家、阿刀田高さんの寄稿「高校国語から文学の灯が消える」を掲載。阿刀田さんは新学習指導要領の中身を理解し、「論理国語」の必要性も認める一方、こう読者に問いかけた。<契約文や法律の条文、図表の読み解きが「国語」の学習なのだ、といわれると、違和感を覚えるのは私だけでしょうか>


> 背景に「PISAショック」

> 文科省の「国語改革」のきっかけになったのは、経済協力開発機構(OECD)の国際調査「生徒の学習到達度調査」(PISA)だ。15年の調査で「読解力」の平均点が前回より低下し、順位も8位に落ちた。いわゆる「PISAショック」だ。

> 出題された問題を見ると、日本の試験のように文学作品や評論文を読解させるのではなく、地図や図表などの複数の資料を読み解かせるなど、「これが国語?」というような問題が多い。また、日本は記述問題に無回答の生徒が多いことも分かった。

> それらを背景に打ち出されたのが新学習指導要領だ。狙いは「思考力、判断力、表現力の育成」。新設された「論理国語」について、文科省は「実社会において必要となる、論理的に書いたり批判的に読んだりする力の育成を重視した科目です」と説明する。要は、誰もが将来、小説家になるわけではないのだから、難解な文学作品の読解よりも、大学でアカデミックな文章を書いたり、実社会で必要とされる国語力を育成したい、というわけだ。


> 今こそ「普段使いの国語力」を

> 「論理国語」新設などの方向性を評価するのは、実用的な文章を使って論理的思考を身につけることを提唱し、「増補版 大人のための国語ゼミ」などの著書のある立正大文学部教授、野矢茂樹さん。「『山月記』や『こころ』を読まない高校生が登場していいのか、という批判があります。しかし、実際にはそれらの定番教材が消えるわけではないですし、しかも、そういう批判は、高校生にモーツァルトを聴かせなくていいのか、というのと同じです。文学作品の鑑賞は芸術の選択科目の音楽や美術に近い。もちろん文学作品に触れることは大切ですが、今の時代に必要とされているのはむしろ、相手に分かるように話し書くという『普段使いの国語力』です。論理的な文章を読んで的確に内容をとらえ、分かりやすい文章を書いたり、相手にきちんと伝わるように話したりする力です。それらは日々鍛えなければ身につきません」と語る。

> また、今の時代には特にそういった国語力が必要だ、と説く。「日本では長く『あ・うん』のコミュニケーションが重んじられてきました。しかしそんな“仲間内の言葉”しか使えず、異なる考えを持つ相手を『話の分からないやつ』と切り捨てていては、ますます排外的、排他的になってしまう。いじめやヘイトスピーチにもつながりかねない。社会の分断が叫ばれる今の時代だからこそ、仲間内の外側にまで届く言葉で書き、話す訓練が必要なんです」


> プレテスト、記者が解いてみたら……

> いずれにせよ、国語教育が今、大きな変革期にあることは間違いない。その行方を見通すものとして関係者が注目するのが大学入試改革だ。21年からセンター試験に代わって「大学入試共通テスト」が導入されるため、大学入試センターではサンプル問題の公開(昨年5、7月)やプレテスト(昨年11月、今年11月の2回)を実施した。

> そこで、直近の第2回のプレテストの国語から、記述問題である第1問と、評論文を扱った第2問を実際に解いてみた。

> まず第1問、記述問題は、人間の「指さし」行為をめぐる二つの評論文を読んで答えるもの。小問3問。30年以上前とはいえ、高校の国語科で教育実習経験もあるし、新聞記者歴だって30年近い。

> 絶対に間違えてたまるか!と気負って取り組んでみたら、拍子抜けした。問題文から上手に抜き書きすれば事足りるような問題なのだ。サクサク仕上げて答え合わせ。全問正解。正答例を見て、問題文からキーワードをきちんと拾えるかどうかが大事なように思えた。

> 50万人以上が受ける「共通テスト」である。採点にぶれがあってはいけないから、採点基準に字数や「○○が書かれていること」などの条件を細かく設定するしかないのだろう。

> 国語力は記述方式で問うべきだ、と思っていたけれど、大規模な共通テストでは公平な採点を重視せざるをえない。その結果、自分の頭で考え、自分の言葉で答えるような問題ではなく、問題文から要領よく抜き書きする問題になってしまうんじゃないか。あらためて、試験問題を作る側の苦労を思ったのだった。


> 50点中30点とは……

> 第2問はマークシート式の問題だが、ぎょっとした。いきなり「著作権のイロハ」というタイトルのポスターが資料として掲載されていたからだ。次の資料は「著作権法」(抄)。一気に気がめいる。文学は好きだが、法律の文面は苦手だ。

> 第2問の問題文に採用されたのは著作権がテーマの評論文。三つも表がついている。こちらには苦戦した。第2問は50点中30点。漢字問題を間違えたことに加え、読解問題で時間に追われ、資料をていねいに読まずに、自分の思い込みで答えたのが原因らしい。

> 制限時間のあるテストで、記述問題と複数の資料を読む問題の両方を解かなければいけない受験生は大変だろうな、と正直思ったのだった。


> 何のための記述問題か

> 共通テストに記述問題を導入することについて、著書「国語教育の危機」のある日本大学文理学部教授(国文学)、紅野謙介教授はこう指摘する。

> 「50万人をも相手にする記述問題だと、誘導しすぎれば正答率がぐっと高くなってしまうし、複雑にすればあまりに低い正答率によって、合否判定に及ぼす影響がきわめて小さくなってしまう。結果、何のために記述式問題にしたのか、分からないようなつまらない問題になってしまいがちなんです。リスクは高く、制度的な不透明感が消えません」

> これは実際に自分で解いてみた印象とも重なる。

> 紅野さんはもう一つ、サンプル問題やプレテストで多用されていた「会話文」について「そもそも今回の新学習指導要領は、教育現場の国語授業が『読む』偏重だという批判を意識したものでした。主体的、対話的な学びを身につけ、コミュニケーションできるようにしよう、と。その目的自体は素晴らしい。しかし、共通テストに会話文を採用したり、記述問題を導入することでそれは実現するのでしょうか」と問題提起する。

> 「むしろブラック校則を廃止し、生徒を管理するのでなく自由を与える方が有効なのではないですか。大人や子どもがきちんと自分の意見を述べ、相手の意見を聞き、深いディスカッションのできる学校や社会を実現しないで、入試問題や教科書だけ変えても、現実と乖離(かいり)するだけです」とも。


> 「文学」vs「論理国語」ではない

> 今回取材して痛感したのは「文学」vs「論理国語」といった単純な二項対立ではないことだ。実際、文科省も、野矢さん、紅野さんら多くの専門家も「両方とも必要」という点では一致している。多くの専門家が「言葉」の危機を指摘する時代でもある。

> 「国語力」はすべての学力の土台。どうやって育み、どうやって評価するのか、試行錯誤が必要なのは確かだろう。

<参考=「高校国語から「文学」消える? “誤解”はなぜ広まったか」(毎日新聞、1月4日)>


NO.1803 「どろろ」 手塚治虫の名作が50年ぶりテレビアニメ化(毎日新聞、1月6日)<起稿 磯津千由紀>(19/01/06)


【磯津(寫眞機廢人)@ThinkPad R61一号機(Win 7)】 2019/01/06 (Sun) 19:27

 こんばんは。


 身障者差別用語が頻出することから、もう日の目を見ないものかと思っていました。
 今回、多分、原作に対して多くの「修正」が為されるものとは思いますが。
 尚、BS11は全国無料放送です(ビックカメラ系の放送局)。


> 手塚治虫の名作マンガが原作のテレビアニメ「どろろ」が7日から順次、放送される。1960年代に「週刊少年サンデー」(小学館)ほかで連載され、2007年には実写映画も公開された。新作は69年以来、約50年ぶりにテレビアニメ化される。


> 舞台は戦国時代。醍醐(だいご)の国の主である景光は、ある寺のお堂で12体の鬼神像に領土の繁栄を願う。それと引き換えに生まれた景光の世継ぎは体のあちこちが欠けており、忌み子として川に流されてしまう。時は流れ、鬼神は景光との約束を果たし、国には平安が訪れる。

> そんなある日、どろろという幼い盗賊が、両腕に刀を仕込む全身作り物の男・百鬼丸と出会う。百鬼丸は、見えない瞳で襲い来る化け物を見据えていた……。妖怪から自分の体を取り返そうとする百鬼丸とどろろの旅が描かれる。

> 舞台を中心に活躍する俳優の鈴木拡樹さんが百鬼丸、子役の鈴木梨央さんがどろろをそれぞれ演じるほか、佐々木睦さんや内田直哉さん、千葉翔也さん、大塚明夫さんらが声優として出演する。「ユーリ!!!on ICE」などのMAPPAと手塚プロダクションが制作する。放送はTOKYO MX、BS11、時代劇専門チャンネル。

<参考=「「どろろ」 手塚治虫の名作が50年ぶりテレビアニメ化」(毎日新聞、1月6日)>
<消滅・19/07/07>


NO.1804 WEB CARTOP:通なら見逃さない! いいクルマなのになぜか中古で激安な国産車3選(毎日新聞、12月8日)<起稿 磯津千由紀>(19/01/08)


【磯津(寫眞機廢人)@ThinkPad R61一号機(Win 7)】 2019/01/08 (Tue) 23:25

 こんばんは。


 ブレイドマスター、もう少し値落ちが激しくて四駆なら、食指が動くです。
 RX-8、車椅子を積みづらいのと四駆でないので当方の食指は動きませんが、旋回性能とエンジンとドアは魅力的です。


> これから中古車価格が上昇する可能性アリなモデルも!

> 中古車の価格というのは正直なもので、人気のあるクルマは高く、人気のないクルマは安くなってしまう。それはいくら新車価格が高くても関係ないシビアな世界だ。しかし、なかには不当なくらい安い値段で取引されているいいクルマというのも存在している。

> だいたいそういう車両はしばらくするとその良さが再発見され、再び値段が上がり始める傾向があるので、その前に購入できるとおいしいと言える。そこで今回は独断と偏見でいいクルマなのに手ごろな価格で買えてしまう車両をご紹介したい。


> 1)日産ティーダラティオ

> 残念ながら現在の日産の新車ラインアップからは消滅してしまった5ナンバーサイズセダン。古くはサニーから続く伝統的なポジションだったが、もはやコンパクトセダンというボディタイプはそれほど需要がないものなのだろうか。

> しかし、そんな5ナンバーセダンにこだわりたいという人におすすめしたいのが初代ティーダラティオだ。2代目はラティオと名前を変え、マーチがベースとなってやや残念な仕上がりとなってしまっていたが、初代モデルはこの時代のクルマとしては珍しいくらいのオーバークオリティっぷり。シートなどは上級車種かと思うほどのタップリしたサイズのものがおごられている。

> 価格も高いものでも100万円で十分おつりがくる価格帯となっており、低走行なものもまだまだ見つかるので、じっくりよいものを探したいところ。モデル途中で6速MTも追加されているが、素の状態はまったくスポーティではないので、走りを期待して買うとガッカリしてしまうので注意されたい。


> 2)マツダRX-8

> 2012年に生産を終了してからも、いまだにマツダのイメージリーダーと言っても過言でないのがロータリーエンジンだろう。そんな孤高の存在であるロータリーエンジンを搭載した最後の車種となっているのが、RX-8だ。それまでのRX-7とは異なり、ターボを捨てNAエンジンとなって最高出力こそ下がっているものの、そのロータリーエンジンらしいフィーリングは不変である。

> また、クーペフォルムながら観音開きタイプの4ドア車であり、リヤシートもRX-7に比べれば十分大人が座れるスペースが確保されているため、ファミリーカーとして押し切ってしまっても何とかなりそう。モデル途中でATが4速から6速に大幅アップグレードされたため、そちらを狙えばATでもよりスポーティな走りが楽しめる。

> そんなRX-8は最後の限定車スピリットRこそ高値安定だが、ボリュームゾーンは50万円以下とかなりリーズナブル。安いものだと総額20万円台から見つかってしまう。おそらく今後は再評価される車種だと思うので、底値の今のうちに程度の良い個体を押さえておきたい。


> 3)トヨタ・ブレイドマスター

> いまや高級車ですらダウンサイジング化が進んでいる排気量。しかしほんの約10年前はプレミアムカー=大排気量というイメージがまかり通っていた。もちろんトヨタもそのイメージに従って「ショート・プレミアム」というコンセプトでプレミアムコンパクトハッチバックをリリースしていた。それがこのブレイドだ。

> 当初は直列4気筒の2.4リッターエンジンを搭載していたが(それでも十分大排気量だが)、モデル途中でV型6気筒3.5リッターエンジンを搭載する「マスター」を追加。プラットフォームを共有するオーリスは1.5リッターエンジンが中心ということもあり、2倍以上の排気量を持つグレードとなっている。

> トヨタは保守的なクルマ作りでつまらないと揶揄されることも多いが、定期的にこういったチャレンジングな車種も生み出しているのである。おそらく、今後こんな大排気量ハッチバックは登場しないのではないだろうか?

> 気になるブレイドマスターの中古価格は高いものでは100万円オーバーから、安いものだと50万円台と幅広い。ただ、タマ数が圧倒的に少ないので、じっくり腰を据えて探すのがいいだろう。

<参考=「WEB CARTOP:通なら見逃さない! いいクルマなのになぜか中古で激安な国産車3選」(毎日新聞、12月8日)>


NO.1805 兼高かおるさんが死去 90歳 旅行ジャーナリスト(毎日新聞、1月9日)<起稿 磯津千由紀>(19/01/09)


【磯津(寫眞機廢人)@ThinkPad R61一号機(Win 7)】 2019/01/09 (Wed) 19:27

 こんばんは。


 齢90歳になられていたのですね、ご冥福をお祈りします。


> 紀行番組「兼高かおる世界の旅」(TBS系)の案内役として長年親しまれた旅行ジャーナリストの兼高かおる(かねたか・かおる、本名兼高ローズ)さんが5日午後8時45分、心不全のため東京都港区で死去した。90歳。神戸市出身。葬儀・告別式は近親者で行った。


> 米国留学後、英字紙でフリー記者として活動。「世界の旅」は、1990年まで約30年にわたり放送され、海外旅行ブームに先駆けた名物番組として親しまれた。訪れた国は約150カ国で、総移動距離は約721万キロというテレビ史上例を見ないスケールになった。

> 菊池寛賞、紫綬褒章などを受けた。(共同)

<参考=「兼高かおるさんが死去 90歳 旅行ジャーナリスト」(毎日新聞、1月9日)>
<消滅・19/01/24>


NO.1806 客や取引先から過剰なクレーム…広がる「カスタマーハラスメント」(毎日新聞、12月14日)<起稿 磯津千由紀>(19/01/09)


【磯津(寫眞機廢人)@ThinkPad R61一号機(Win 7)】 2019/01/09 (Wed) 21:59

 こんばんは。


 「過剰な」クレームが増えているといいます。


> 「カスハラ」が深刻だ。客や取引先による過剰で悪質なクレームで企業の従業員が苦しむ「カスタマーハラスメント」の略で、国の労働政策審議会(労政審)でもどんな対策を取るべきか議論となっている。「カスハラ」が広がる背景に何があるのか。処方箋はあるのか。【宇多川はるか/統合デジタル取材センター】


> 顧客から「死ね。殺す」…7割が被害訴え、精神疾患にかかる例も

> 「だしがぬるく交換を提案した結果、『水を入れて飲め豚』と言われた」

> 「介護サービス中に体形について何度も口にされる。『太っている。汗かきなのに痩せないのが不思議』」

> 「面識ない顧客から電話で『死ね。殺す。つぶれてしまえ。生きている価値なし』」

> 「受付で予約が入っていない旨伝えると『バカづらさげて、なにやってんだ』」

> カスハラについてのアンケートに寄せられた体験談の一部である。外食や流通などの労働組合でつくる産業別労組「UAゼンセン」が飲食やタクシー、ホテルなどで働く約3万人から回答を得て、9月に発表した。このアンケートは、サービス業従事者を対象とする日本初の画期的な「カスハラ被害調査」だった。

> 集計したところ、回答者の約7割が「客からの迷惑行為に遭遇した」とした。内容では上に列挙したような「暴言」が約1万4000件で最も多かった。他には▽威嚇・脅迫(「要求が通らなかったら『店をつぶす』と脅された」「学生へ静かにするよう注意したら携帯電話で写真を撮られ『SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)にアップする』と言われた」など)▽何回も同じ内容を繰り返すクレーム(「常習的に同じ内容のクレームで数時間拘束される」など)--が上位を占める。

> UAゼンセンは昨年も、流通業関係約5万人を対象にアンケートを実施し、同様の傾向がみられた。二つの調査でカスハラ経験者の約9割が「何らかのストレスを感じている」と回答。「実際に精神疾患になった」が計約600件と深刻な実態が明らかになった。


> 「クレーマー」呼称 1999年、東芝の不適切対応で広がる

> 「ここ数年で被害が深刻化している」。悪質クレームに苦しむ企業の相談に乗る専門家たちは声をそろえる。その一人、クレーム対応専門コンサルタントの援川聡さんは「クレームの現代史」をこう説明する。

> 「クレーマー」という呼称が世に広まったのは、東芝のクレーム処理が社会問題化した1999年だった。これは、東芝製ビデオデッキの修理を巡り、ユーザーの男性会社員が東芝の不適切な対応を録音してネット上に公開し、同社を謝罪に追い込んだ一件だ。ネットの影響力に大手メーカーが屈した格好で、企業の顧客対応のあり方に一石を投じた。

> 2000年代に入ると雪印乳業の集団食中毒や雪印食品の牛肉偽装、「白い恋人」「赤福餅」「ミートホープ」「船場吉兆」と相次いで賞味期限や産地などの偽装問題が起き、食品産業を中心に消費者の不信感は大きくなる。それに伴い企業に対する消費者の目線は厳しくなり、クレームも増えていった。

> 2011年の東日本大震災で企業へのクレームはいったん激減した。ところが、阪急阪神ホテルズに端を発した食材偽装問題、さらに「マクドナルド」の商品や「即席麺ペヤング」の異物混入が発覚すると再び消費者の不安や不満が高まり、「クレームブーム」に火がついた。


> 善良な市民が「モンスター」になる

> 「こうしたクレームがハラスメントの域に達した背景には『善良な市民のモンスター化』がある」と援川さんは強調する。2000年ごろまでは、理不尽な要求をするクレーマーはいわゆる「反社会的勢力」が主流だった。

> だが、今や一般市民が主流だ。この点は、ドラマ「リスクの神様」(フジテレビ系)や「ハラスメントゲーム」(テレビ東京系)を監修する危機管理コンサルタントの白井邦芳さんも認める。「食品産業の事件を経て企業の姿勢が問われる中で、一般市民が企業にかみつくモンスタークレーマーになり、被害が増えている実情がある」(白井さん)


> 格差意識、過剰労働、消費者甘やかし

> カスハラの背景は、企業への不信感にとどまらないようだ。

> 援川さんは5000件超のクレーム相談に乗ってきた経験から、「社会格差の広がり」が引き金の一つとみる。「日ごろの不満や鬱憤をクレームで晴らそうという悪質なケースが近年増加している」。現象として顕著なのが、悪質クレームのピークが訪れる時期だ。クリスマスが近づくこれからの時期は、年に数回のピークの一つだという。「まちが華やげば華やぐほど、格差意識を感じる人が増え、重いクレームが発生しやすいのだろう」

> また、消費心理学が専門でカスハラを分析する池内裕美・関西大教授は「社会全体が疲弊して不寛容になってきていることも一因だ」と指摘する。「『働き方改革』といっても現状では多くの企業で過剰労働が改善されていない。ネットによる高度情報化社会で24時間オンオフの切り替えもつかず、イライラがあふれ、コーヒーがぬるいだけで店員に怒りをぶつける人が増えてきている」

> 以前は企業と消費者では、情報を持つ企業が強かった。しかし、2000年以降は「消費者保護」に拍車がかかり、「『消費者過保護』状態になった」と池内さんは言う。「一部の消費者が特権意識を高め、自身のイライラを立場の弱い従業員や企業にぶつけている。カスハラは、さまざまな社会的な要因が絡み合った結果だ」


> カスハラ防止措置義務は見送りの方向

> ハラスメントの法制化を議論している労政審も「カスハラ」に注目している。

> 労政審は職場内のパワハラについてはセクハラと同様、企業に防止措置義務を課す方向で検討を進めている。これに対し、カスハラについて、事務局の厚労省は「職場のパワハラに類するもの」としながらも、企業が防止措置を講じることが「望ましい」とする位置づけにとどめ、セクハラやパワハラ並みの防止措置を義務づけることは考えていない。

> これに対し、日本労働弁護団などから「全く不十分だ」と批判が出ている。UAゼンセンの代表者も11月下旬、カスハラを含むハラスメント規制の法制化を求める集会で「日々、誰かが被害にあっている。先延ばしできる問題ではない」と語気を強めた。


> 本来クレームは改善を求める声

> カスハラに対し、企業や従業員はどんな防衛策を取るべきか。

> 専門家らが共通して指摘するポイントは「先入観を抱かないこと」。客からのクレームは本来、商品やサービスの改善を求める声であり、企業側は声を受けて改善すべきことに該当するかどうか、冷静に見極める必要がある。

> 前出の池内さんは「消費者が訴える内容よりも怒り方で企業側が構えてしまっては、見極めができない」と話す。白井さんも「人は怒りを覚えたら通常よりも大きな声で言葉も荒くなる、と心得ておくこと。怖いからといって真摯(しんし)に対応すべき内容をむげに扱っては、かえって悪質クレーマーを増やすことになる」と強調する。

> 白井さんのもとに最近、ある上場企業から「しつこい悪質クレーマーへの対策として、カスタマーサービスの担当者が自分の名前をA、Bなどとして名乗らない形にできないか」との相談があった。白井さんは「不信感を抱かせるのでNGだ」と指摘する。「担当者として名乗り、責任を持って対応することが必要だ」


> 「お客様」は100%「神様」ではない

> とはいえ、どうにも対処できない悪質なクレーマーも少なくない。

> 援川さんは「性善説で対応した上で、大事なポイントはレッドラインを設けること」と強調する。近著「クレーム対応『完全撃退』マニュアル」(ダイヤモンド社)で、民間流通業(スーパーマーケット)でクレーム担当者だったころの自身の体験をこうつづる。

> ある高齢男性から食品への異物混入を訴えられ、援川さんは男性の自宅を訪れた。板の間に正座して商品を交換したが、男性から罵倒され続けた。「誠意を見せろ!」「お前のようなやつは死んでしまえ!」。ひたすらわびていると、男性は「お前じゃ話にならん! 出て行け!」と言った。「そうですか。それでは失礼します」と辞し、翌日、男性に電話をかけた。「申し訳ありませんが、商品を交換したことで私は誠意を尽くしたと思っています。これ以上の要求をされるのであれば、警察、弁護士とも相談のうえで対応させていただきます」。男性がこれ以上のクレームを言うことはなかった。

> 「お客様第一主義の『呪縛』から解き放たれた瞬間だった」と援川さんは取材に振り返る。「社会通念に沿って誠実に対応する。でも、相手がこれ以上は対応できないというラインを超えたら、毅然(きぜん)と断る勇気も持たなければならない。『お客様あっての企業』とはいっても、100%従うべき『神様』ではないのです」

<参考=「客や取引先から過剰なクレーム…広がる「カスタマーハラスメント」」(毎日新聞、12月14日)>


【磯津(寫眞機廢人)@ThinkPad R61一号機(Win 7)】 2019/01/09 (Wed) 22:12

副題=「カスタマーハラスメント」 悪質クレーム深刻化 「飲め、ブタ」「お前もヤケドしろ」 「社会疲弊し不寛容に」(毎日新聞、12月17日)

 こんばんは。


 何故か、追加記事が。(内容的には、前の記事の抜粋繰り返しに思えます)


> 「カスハラ」が深刻だ。客(カスタマー)の悪質なクレームで従業員が苦しむ「カスタマーハラスメント」の略で、国の労働政策審議会(労政審)でも議論となった。背景は? 処方箋は?【宇多川はるか】

> 「ブタ」「死ね」「ボケ」--。外食やタクシーなどサービス業に従事する約3万人を対象に産業別労組UAゼンセンが実施し、9月に公表した「カスハラ」アンケートで、7割がカスハラを経験していた。昨年も流通業関係約5万人にアンケートを実施し、両調査でカスハラ経験者約600人が精神疾患になっていたことが判明。深刻な実態が初めて浮き彫りとなった。

> 「クレーマー」の起源は1999年、東芝ビデオデッキの修理を頼んだユーザーが不適切な対応を録音してネット上に公開し、同社を謝罪に追い込んだ一件とされる。その後も雪印乳業の集団食中毒など消費期限や産地の相次ぐ偽装などで企業不信が深まり、増加の一途をたどる。

> さらに、ここ数年で被害が深刻化していると専門家たちは見る。クレーム対応コンサルタントの援川聡さんは「2000年ごろまで理不尽なクレーマーの主流は反社会的勢力だったが、今や一般市民だ」と話す。その背景は企業への不信感だけではないようだ。

> 援川さんは強まる格差意識を引き金の一つとみる。クリスマスが近づくこれからの時期はクレームが大きく増えるという。「まちが華やげば華やぐほど格差を意識する人が増え、日ごろの鬱憤を晴らそうと重いクレームが発生しやすい」と話す。

> また、消費心理学が専門の池内裕美・関西大教授は「多くの企業で過剰労働が改善されていない。社会全体が疲弊し不寛容になっていることも一因だ」と指摘。さらには、ここ20年ほどで消費者保護に拍車がかかっている点も重視する。「いわば『消費者過保護』の状態。一部の消費者が特権意識を高め、イライラを立場の弱い従業員らにぶつけている」


> 許容限度設定を

> パワハラ対策を検討してきた労政審は、カスハラを問題視しつつも防止措置の義務化を見送った。では、企業や従業員はどんな防衛策を取るべきか。

> 専門家たちに共通する指摘は「先入観を抱かないこと」。客からのクレームは本来、商品やサービスの改善を求める声で、企業側は改善すべき点があるかどうか見極める必要がある。ドラマ「リスクの神様」などを監修する危機管理コンサルタントの白井邦芳さんは「怒れば大きな声で言葉も荒くなる。怖いからといって真摯(しんし)に対応すべき内容をむげに扱えば、かえって悪質クレーマーを増やすことになる」と強調する。

> その上で「レッドラインを設けることが大事だ」と前出の援川さんは言う。「社会通念に沿って誠実に対応するが、相手がこれ以上対応できないラインを超えたら毅然(きぜん)とした態度で断る。お客様あっての企業だが100%従うべき『神様』ではないのです」

<参考=「カスタマーハラスメント」 悪質クレーム深刻化 「飲め、ブタ」「お前もヤケドしろ」 「社会疲弊し不寛容に」(毎日新聞、12月17日)>
<消滅・23/12/24>


NO.1807 生きづらい若者の逃げ道「市販薬依存」の恐ろしさ(毎日新聞「医療プレミア」、1月12日)<起稿 磯津千由紀>(19/01/12)


【磯津(寫眞機廢人)@ThinkPad R61一号機(Win 7)】 2019/01/12 (Sat) 13:05

副題=前編

 こんにちは。


 「市販の普通の薬」が危ないといいます。


> 市販薬の依存症とは(前編)

> 市販の風邪薬や頭痛薬などは「素人判断で飲める薬」のはずです。でも実は、市販薬による依存症が、深刻な問題になっています。薬物依存に詳しい、国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦・薬物依存症センター長に現状を聞きました。2回に分けて報告します。


> ――市販薬の乱用は問題なのですか。

> 松本俊彦さん 10代の子どもたちに関し、一貫して問題になってきた乱用薬物は、シンナーより大麻より危険ドラッグより、市販薬です。保護者には「子どもたちがむやみに飲んでいないか」と関心を持ってほしいと思います。

> ――どんな市販薬ですか。

> ◆風邪薬や鎮痛薬です。代表格が、せき止め薬の「ブロン」(通称)や、俗に「金パブ」と言われる、風邪薬の「パブロンゴールド」(同)ですが、他にもいろいろあります。

> ブロンの乱用は、1980年代後半に広がりました。ブロンもパブロンも、麻薬系の成分「コデイン」と、覚醒剤系の「メチルエフェドリン」、さらに「カフェイン」、そして「抗ヒスタミン薬」の一種の「クロルフェニラミン」、という4成分を含んでいます。当時は瓶に入ったブロンの「液剤」が大量に使われましたが、今は成分が変わりました。でもブロンの錠剤は同じ4成分を含みますし、同様の薬は市販の風邪薬などに多くあります。だから問題はずっとある。生きづらさを抱えた若者が集まるインターネットサイトでは、(市販薬の)情報が交換されています。

> ――どうして依存になるのですか。

> ◆ブロンやパブロンは、4成分のそれぞれは微量ですが「互いに依存性を強め合っている」と動物実験から言われています。他の薬も含めて市販薬は、複数の成分を合わせた「合剤」で、微妙に依存のリスクがある成分を混ぜたものが多い。たとえばある頭痛薬は、頭痛に効く鎮痛解熱成分のほか、カフェインや、鎮静系の成分を含みます。この余計な成分でやめにくくなります。

> つまり、カフェインで元気が出る。鎮静系の成分で気持ちが落ち着いてまったりする。度胸が出て意欲が出て、疲れが取れた感じがして、緊張感や不安も取れる。常用している人は、頭痛がなくても、一息つくために使うかもしれない。「飲まないとすっきりしない」と感じる人も出てきます。

> こうした薬が、薬局のかごの中や、若者が入りやすいドラッグストアにある。もっと困るのは、インターネットでどんどん買う子たちがいる。乱用に、薬剤師などによるブレーキがかかりません。

> 女の子は、生理痛で市販薬を飲むし、買いにも行きます。「親とそりが合わない」「いじめられる」「自分が好きじゃない」などの生きづらさを抱えた子は、「心の痛み」でも薬を飲むようになることがある。精神科の外来にはごろごろいます。

> つらい気持ちを和らげるために、生理痛などの時に、鎮痛薬や風邪薬を飲むことで少し耐えやすくなる。学校に行くのは「かったるい」けれど、薬の効果で気持ちが一時的に高まって、学校に行ける。そうして「パブロン」や「ブロン」の錠剤を飲むうちに、どんどん使う量が増えていきます。「心の鎮痛薬」としてコデインを含む薬を飲むわけです。ぼくの経験では、一時的な乱用も含めれば、リストカットなどで病院に来る10代の若者の半数近くが、市販薬を乱用しています。

> それでもあまり問題化していないのは、医師にも責任があります。医師は、他の医師による処方薬には関心を払いますが、市販薬には払いそこねることが多い。一方で患者さんは、市販薬を使っていると言うと「怒られそうだ」と思って医師に言わない。それで市販薬の問題は表に出づらいのです。

> ――深刻ですね。

> ◆服用を頭ごなしには責められません。「自分は価値がない人間だから、助けなんか求めてはいけない」と思い込んでいる子がいる。その子にとって市販薬は、短期的には、苦しさを紛らわす救いです。いい学校に行き、表面的には親の期待に応えているような子どもが、苦しさに耐えかねてこっそり飲んでいたりする。「良い子の薬物」とでも言えばいいでしょうか。

> でも、そうしているうちに、本当の支援、つまりだれか他人による支援から遠ざかり、問題がこじれてしまいます。

> 総合感冒薬にはまった子たちが、「お金がない」などの理由で急に薬を切ると一気に気分が落ち込みます。すると、死にたくなることがあるんです。虚脱感みたいな感じで、家にこもりきって、気持ちが「がーん」と沈んで。

> ――依存の治療は難しいのですか。

> ◆ぼくが、薬物依存症の中でいちばん「離脱(薬をやめること)が難しい」と思ったのは「ブロン」の依存症の人たちです。

> たとえば覚醒剤の離脱はそう難しくありません。覚醒剤で元気が出て、入院で使うのをやめると疲れて寝て、腹が減ってご飯を食べると元気になる。離脱は比較的簡単です。目の前に覚醒剤を出されると再び使ってしまうだけです。

> ところがブロンから離脱するのは大変です。ブロンの4成分のうち、エフェドリンとカフェインは「元気が出る」系統の薬です。この2成分をやめると、電池が切れたようになり、何もする気力が出なくなります。それで寝ていればいいのですが、コデインとクロルフェニラミンの離脱症状が加わります。すると、何もする気力がないくせに、寝てもいられない。不快で不快でしょうがない。イライラして怒りっぽくなり、他人に食ってかかり、室内を歩き回るようになります。

> その上コデインを含む薬をやめると、下痢が長く続いたり、汗をだらだらかいたりします。そんな状態が2、3日から数週間も続きます。

> さらに、離脱した後にまた薬を使う「再発」をする患者も多い。市販薬は手に入れやすく、使っても法的に罰せられないという事情も背景にあります。

> ――使用をやめないとどうなりますか?

> ◆統合失調症と区別がつかないような幻覚や、人から追われている、尾行されているような感覚が出る人がいます。「パニック発作」も起きやすくなります。電車に乗っていて、急に動悸(どうき)がして怖くなり、電車を降りたくなったり、急に息苦しくなったり。ちょっとのことで感情的になったりもします。

> また食欲がなくなり、やせ細る人もいます。さらに「無動機症候群」と呼ばれる状態に陥り、倦怠(けんたい)感が強くて仕事に行けなくなる人もいます。

> ――ほかにも心配な市販薬はありますか?

> ◆ブロンやパブロンと似た薬は多い。総合感冒薬で、同じくらいの値段で売るためには、あの成分しかないという感じです。

> さらに、睡眠薬として使われる市販薬の一部に、国が「乱用等の恐れがある医薬品」に指定した成分の一つ「ブロムワレリル尿素」を含み、過量服薬すると呼吸が止まる薬があります。この成分は、精神科の医療では危な過ぎて使いません。でも、市販薬には含まれています。

> ――市販薬への規制をどうみますか?

> ◆米国では、コデインを含むせき止め薬を「18歳未満処方禁止」にしました。日本の厚生労働省は、コデインを含む市販薬について「副作用報告に(依存症が)1例も上がってこない」ことを理由に、12歳未満だけの規制でよいと結論づけています。

> しかし、厚労省の研究費で私たちが過去何度も出している、全国の薬物障害に関する報告書には、コデインを含む「ブロン」の名前がいつも記載されています。10代の患者に限ると、乱用薬物としていちばん多いのはブロンです。大麻や危険ドラッグではないのです。

> 全国の精神科医療施設における薬物関連精神疾患の実態調査⇒

> ぼくは市販薬からコデインを抜いてよいと思うし、メチルエフェドリンもいらないと思います。

> ただ現状では、あまりにも多くの製薬会社が、これらを含む総合感冒薬などを製造、販売し、多くの人が服用や長期連用をしています。国が本格規制したら混乱が起きるでしょうね。


> <市販薬の依存症とは(後編)は1月16日に掲載します>


> 高木昭午

> 毎日新聞医療プレミア編集部

> たかぎ・しょうご 1966年生まれ。88年毎日新聞社入社。94年から東京、大阪両本社科学環境部、東京本社社会部などで医療や原発などを取材。つくば支局長、柏崎通信部などを経て、17年に東京本社特別報道グループ、18年4月から医療プレミア編集部記者。

<参考=「生きづらい若者の逃げ道「市販薬依存」の恐ろしさ」(毎日新聞「医療プレミア」、1月12日)>


【磯津(寫眞機廢人)@ThinkPad R61一号機(Win 7)】 2019/01/16 (Wed) 10:03

副題=「市販薬依存」が引き起こす肝障害やぼけ症状(毎日新聞「医療プレミア」、1月16日)

 おはようございます。


 後編です。
 市販薬だからといって安心してはいけないそうです。

 そういえば、母の知人に「サプリメント」の多剤服用で(腸壁が薄くなって)亡くなった方が居ました。

 冒頭の写真に《市販風邪薬に含まれる「ジヒドロコデインリン酸塩」は、いわゆるコデインのこと》というキャプションが付いています。


> ◇市販薬の依存症とは(後編)

≫ <「知らぬ間に依存も」子どもに禁止のせき止め薬 >⇒
≫ <風邪のせきを止めるには市販薬よりまず「蜂蜜」>⇒
≫ <医師が総合感冒薬を勧めない理由>⇒
≫ <薬物依存に刑罰は有効か>⇒
≫ <危険ドラッグ、治療軽視のツケ>⇒

> 市販薬の依存症が深刻な問題になっています。薬物依存に詳しい、国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦・薬物依存症センター長に現状を聞く2回目は、知らぬ間に「体が市販薬を求めるようになってしまった」人たちの話です。

> ――「知らないうちに市販薬をやめられなくなる」のはなぜですか?

> 松本俊彦さん 市販の総合感冒薬や頭痛薬を、毎日何包も飲む人がいます。本人に乱用している感覚はありませんが、たとえば、含まれている「コデイン」は、微量ながら、モルヒネなどと同じ系統の麻薬の一種です。だから本人の自覚とは別に依存が形成されます。

> 「何か分からないけれど、薬がないと物足りない、調子が悪い」と、知らず知らずに体が求めるようになるのです。

> 市販薬は服用人数のデータなどがなく実態が分かりにくいのですが、こういう人は多数いるでしょう。

> というのも総合感冒薬は、医師が使う処方薬としては時代遅れなのですが、患者さんには、やたらと処方してほしがる人がいるのです。

> 「先生、あの薬下さい」「この前あげたでしょ」「風邪が治らないんです」と言って、2カ月も3カ月も飲み続ける人がいます。「治ったからもう出さないよ」と言うと、「風邪をひいた時のために持っていたい」などと言います。

> 処方薬でこうですから、市販の総合感冒薬を買う人も多いでしょう。

> こうした人たちを「依存症」と言うかどうかは難しいところです。依存症は「薬の効果を自覚し、どんなネガティブなことがあっても、その薬を手に入れたくなる」状態です。「何か分からないけど」という人たちが「コデインは危ない。依存性がある」と知っても、仮に違法でも、市販薬を入手しようとするほど強烈な薬物欲求が出るかどうか。

> でも、症状が改善されたのに「漫然と飲み続けざるを得なくなっている」という点で、健康にはマイナスです。

> ――具体的にどうマイナスですか?

> ◆(長期間の服薬で肝臓に負担がかかり)健康診断で肝臓の検査結果が悪く出て、治療が必要になることがあり得ます。「お酒は飲まないのに」「なぜこんなに検査結果が悪いのか」と医師がいろいろ聞くと、市販薬を長年飲んでいることが原因と分かることがあります。

> 内科医に聞いた例では、「認知症かな」というお年寄りがいましたが、日によってはしゃっきりしている。調べると風邪薬を飲んでいて、鎮静剤の成分などが入っていた。年をとると、微量な成分でも意識に変容が起き、ぼけたような状態になることがあります。

> 市販薬、たとえばコデインに体が慣れてしまうと、離脱(飲むのをやめること)が難しくなる。すると長期的には、さまざまな意識活動に影響が出る可能性が十分にあります。

> ――離脱が難しくなった人をどう治療しますか?

> ◆慎重にゆっくり減薬すれば治療はそう難しくないと思います。ただし、急にやめるのは難しい、というのはあります。飲んでいる量にもよりますが。本人が「飲むとすごく気分がよくなる」と、薬の効果に気づいたら治療は大変です。でも「なぜか分からないけどやめられない」人は、ちゃんと害が分かれば、自分の意思でやめられる人もいるでしょう。

> ――どこで治療を受けられますか?

> ◆ぼくらのところに来てもいいし、(他の)精神科の医師に相談してもいい。ただし、お恥ずかしい話ですが、精神科医の全員が、市販薬についての問題意識を持っているとは言えません。

> 総合感冒薬のようにさまざまな成分が混ざった薬は、成分どうしの相互作用が問題です。たとえば「ブロン」(通称)や「パブロン」(同)は四つの成分を含みます。「コデイン」「メチルエフェドリン」「カフェイン」、そして抗ヒスタミン剤とよばれる薬の一種の「クロルフェニラミン」。4成分は、相互に依存性を強めることが動物実験で分かっています。総和(成分の足し算)ではなく相乗(かけ算)的な効果です。

> 「新成分配合」を打ち出した市販薬が出ると、患者は購買意欲をそそられる。1回その薬を買うと、下のグレードの薬は効かないような気になって、次からは値段の高い方を買う。値段が高い理由は、脳に働きかける中枢神経作用を持つ「やめにくい成分」が入っているためだったりします。

> つけ加えると、精神科でよく見られるのが睡眠薬の依存症です。昼間にだらだらと市販の風邪薬を飲んでいる人が、その薬の成分「メチルエフェドリン」や「カフェイン」の覚醒作用で眠れなくなり、そうとは気づかずに「眠れない」と訴える。医者は市販薬の影響を考えずに睡眠剤を出し、依存症になります。市販の睡眠改善剤に含まれる「ジフェンヒドラミン」は、高齢者の「せん妄」なども引き起こします。

> 風邪で市販薬を服用する期間は3~4日でよいはず。1週間を超えて飲み続けるべきではありません。それでも治らなければ、風邪以外の理由で症状が出ていると考え、医療機関に行った方がいいですね。



> 高木昭午

> 毎日新聞医療プレミア編集部

> たかぎ・しょうご 1966年生まれ。88年毎日新聞社入社。94年から東京、大阪両本社科学環境部、東京本社社会部などで医療や原発などを取材。つくば支局長、柏崎通信部などを経て、17年に東京本社特別報道グループ、18年4月から医療プレミア編集部記者。

<参考=「「市販薬依存」が引き起こす肝障害やぼけ症状」(毎日新聞「医療プレミア」、1月16日)>